月別アーカイブ: 2021年11月

「EU 難民殺到で緊迫」

本日の東京新聞朝刊に、中東の難民ら数千人をポーランド国境に送り込んで、難民保護を盾にEUを困惑させようとするベラルーシ・ルカシェンコ大統領の画策に対するEU側の対応が報じられていた。難民を押し付けるという最もくだらないことを仕出かすルカシェンコやロシア・プーチン大統領も問題だが、シリアやアフガニスタンの中東だけでなく、ハイチやエチオピアでも難民の扱いを巡って国同士の衝突が起こっている。授業のプレゼンでも難民・貧困問題を取り上げる班が多いが、これといった解決策がなかなか出てこない。

記事にもあるが、ベラルーシ国内にはロシアの天然ガスを欧州に送る「ヤマル・ガスパイプライン」が通過している。フランスやイギリスを除く欧州の電力はがロシアの天然ガスに頼る部分が多い。ルカシェンコ大統領の「ガスを遮断する」という発言は、欧州の電力危機を煽るだけでなく、資源に頼りっきりのロシアをも刺激するものである。1994年に大統領となって28年目、御歳67歳のやっかいな人物が国際政治を賑わせている。やれやれ。

「タイ『王室改革』訴えは違憲」

本日の東京新聞朝刊に、タイの憲法裁判所で「王室改革」を訴える反体制デモが違憲だとの判決が出たとの記事が掲載されていた。
タイの正式名称は「タイ王国(Kingdom of Thailand)」である。人口7,000万人で、一人あたりのは7,810ドルといった中流国である。

ちなみに一人当たりのGDPが10,000ドル以上の上流国は全体の3分の1ほどである。同3000ドルから10,000ドルが全体の3分の1を占める中流国である。そして残りの3分の1にあたる同3000ドル以下を下流国とみてよいだろう。そのうちの25ヵ国は、一人当たりのGDPが1000ドル以下の貧困国となっている。

さて、そのタイ王国が揺れている。現ワチラロンコン国王の浪費などを追及する学生団体と警察の衝突が繰り返されている。国家財産を私物化する国王とそれを擁護するプラユット政権に対する国民の視線は厳しい。そもそもこの評判の悪いワチラロンコン国王は、王太子時代ほぼ海外で生活しており、2016年の即位後も一年の大半をドイツで過ごしている。土砂災害やコロナ禍で苦しむ本国を見捨てて、海外で優雅に生活する国王を一体誰が支持するのであろうか。

「マクロン氏、原発回帰鮮明」

本日の東京新聞朝刊に、原発の発電割合が70%と世界一の原発大国であるフランスのマクロン大統領が、温室効果ガスを排出しないクリーンな電源として原発の新設を再開すると発表したとの記事が掲載されていた。

フランスを含むアルプス山脈の北側は安定陸塊であり、ユーラシアプレートの中心部にあるため、数千年というスケールでもM5を超えるような地震がほとんど起きない。福島第一原発のような危険性はかなり低いと思うかもしれないが、核のゴミが無害化までには10万年かかるので、日本の六ヶ所村もフランスも”偏に風の前の塵に同じ”である。

『人生の縮図』『自由への扉 DOORS TO FREEDOM』

高橋歩『人生の縮図』(A-Works 2003)、『自由への扉 DOORS TO FREEDOM』(A-Works 2007)をパラパラと眺める。職業・自由人の肩書きの著者が、海外の人物の写真と自分の生き方を探し、貫く心の叫びをポエムに託した、言葉は悪いが独り善がりな作品となっている。

『続・奈良点描』

長田光男『続・奈良点描』(清文堂出版 1985)をパラパラと読む。
奈良の歴史や十津川村の変遷、各地の旧跡、現在まで伝わる祭などが採り上げられている。その中で、吉野と中央構造線の関係ついて論考が興味深かった。吉野というと山の中の交通不便な僻地という印象が強い。しかし、不便な地と見るのは、奈良・大阪・京都などを中心に考えた時であって、この地を地形図で見た場合、ちょうど吉野は中央構造線のど真ん中にある。西は紀の川を経て四国・瀬戸内・九州へと行けるし、東は伊勢を経て東海地方へ容易に繋がるのである。飛鳥時代には大海人皇子、時代は下って源義経や後醍醐天皇など、吉野に入った人の数は多い。

また、奈良が1980年代前半まで奈良は靴下の一大生産地であったそうだ。当時から中国や韓国から安い輸入物が出回っていたが、まだまだ質の悪かったようで、国産には敵わなかったとのこと。このあと急激な円高によって、急激にシェアを落としていくのであるが、現在でも奈良は高級な靴下を生産している。