月別アーカイブ: 2021年11月

『ほかならぬ人へ』

第142回直木賞受賞作、白石一文『ほかならぬ人へ』(祥伝社 2009)を読む。
表題作の他、「かけがえのない人へ」が収録されている。結婚や不倫を通して、愛することの難しさをテーマとするトレンディドラマ仕立てなのだが、あまり共感できなかった。
職場の健康診断で引っ掛かって、市内の総合病院で胃カメラとその後の診察を待っている間に読んだ。

「難民防ぐ『壁』EU苦悩」

本日の東京新聞朝刊に、移民の不法侵入を防ぐ壁の建設を巡って議論が再燃しているとの記事が掲載されていた。米トランプ前大統領がメキシコからのヒスパニックの流入を防ぐために壁を建設したが、トルコと国境を接するギリシアやセルビアと国境を接するハンガリーなどで壁の建設計画が着々と進んでいる。

世界史の教科書を読むと、19世紀以降、欧米は中東やアフリカの植民地に自国が抱える矛盾を押し付けてきたと書かれている。そうした宗教や資源、民族、国境など様々な要因で疲弊している中東やアフリカからの移民は拒否するというのは

「中東難民ら ベラルーシで足止め」

本日の東京新聞朝刊から。
欧州入りを目指してベラルーシの国境付近に留まっている難民の経緯が明らかになってきた。
イラクやレバノンなどの中東やアフリカからの移民が、悪質な斡旋業者に騙されベラルーシくんだりまで連れてこられたというのが真相のようだ。

「移民船転覆 27人死亡」

本日の東京新聞夕刊に、英仏の間のドーヴァー海峡で移民を載せた小型ボートが転覆し、少なくとも27人が死亡したとの記事が掲載されていた。アフリカや中央アジア、西アジアの移民がEUを目指す背景は何度も授業で触れてきたところである。

大切なのは、こうした移民問題は海の向こうの事件ではなく、ほんの近い将来、日本の沿岸でも起こる可能性が極めて高い事例であるという理解である。授業冒頭のプレゼンでも、問題の内容は様々だが、「知る」「理解する」「考える」「行動する」などの結論を提示するグループが多い。

北朝鮮や台湾からの難民が日本近海に押し寄せる事態は、容易に想像することができる。そうした時に、日本政府はどのような対応を取るのであろうか。よもや江戸時代の終わりにペリーが来航した時のように、「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四杯で夜も眠れず」とうろたえるばかりでは済まされない。

「米国主催の民主主義サミット 台湾を含む110ヵ国・地域招待」

本日の東京新聞朝刊に、バイデン米政権が自身が主催するオンラインサミットに台湾を含む110ヵ国と地域を招待したとの記事が掲載されていた。少し気になったのが、「国と地域」という表現である。今夏の東京オリンピックでも、世界の206の国と地域が参加している(実際は北朝鮮やギニア、アフガニスタンが辞退したため161)。一体「国」「地域」と書き分ける違いはどこにあるのだろうか。

先日の授業の中でも触れたが、国家が成立するための三要素として「領域」「国民」「主権」がある。まずこの三要素がない国は国家として国際的に認められていない。 しかし、三要素を満たしていて世界的から見れば「国」であるのに、日本にとって「国」と承認していない「非公認の国」というものがある。それがいわゆる「地域」と呼ばれる。記事にもある台湾はもちろん三要素を満たし「国」として世界的に存在している。 しかし、日本は、1972年の日中共同声明において「台湾」は「中国」の一部であり「独立国ではない」という中国側の見解に与していることから、台湾は「国」には数えられていない。同様に香港や北朝鮮も、日本政府が双方に大使館を

日本と台湾は非政府間の実務関係として維持されています。 正式な外交関係を失ってはいますが、経済交流、人的交流等の各分野で発展を図っています。