『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』

池上彰『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』(文春新書 2011)を読む。
教材研究で手っ取り早く三大宗教の特徴について整理したいと思い手に取ってみた。どうも最近精神的に疲れているので、話のネタに使いたいと思った点だけ抜き書きしておきたい。

  • 中国では共産党公認のキリスト教と、共産党が認めない「地下教会」のローマ法王公認のカトリックの2つのキリスト教がある。
    カトリックにおいては、キリストの弟子のトップであるローマ法王が、一番偉いとされており、地上の最高位です。ということは、カトリックを信じる人にとって、ローマ法王は共産党より上の存在になってしまいます。それを認めることは、共産党に忠誠を誓わない組織の存在を認めることになってしまいます。ですから中国ではカトリックが弾圧されているのです。むろんバチカン市国と中国とは国交を結んでいません。
  • アメリカには、進化論を信じない人が大勢います。聖書と矛盾しているからです。進化論は、人類について、440万年前に猿人が現れ、50万年前に原人、3万年前に新人と進化してきたと説いています。しかし聖書を信じる人は、そんなことはありえないと考えます。聖書には、神様が自らの姿に似せて人間をおつくりになったと書いてあるからです。そのように聖書に書かれていることがすべて真実だと信じている人たちのことを、「キリスト教原理主義者」という言い方をすることがあります。
    キリスト教原理主義者やそこまで排他的ではない聖書信仰の団体までを含めて、福音派、エヴァンジェリカルと言います。アメリカの保守層をなす人々で、その多くが共和党の支持者です。神様が「産めよ、増やせよ」と命じたので、「同性婚」と「妊娠中絶」には反対で、共和党もその考えを公約に取り入れなくてはなりません。
  • カーストは非常に厳密です。例えば日系の企業が現地でオフィスを掃除する人を雇おうとしたなら、テーブルを上を拭く人と、床を拭く人とは、カーストが違います。一人の人に「部屋を掃除していてね」と簡単に言うわけにはいかないのです。それぞれに人を雇わないといけない。
  • 最後の晩餐の席で、イエスは仔羊の代わりに自分自身へを神への生贄に見立て、パンをちぎって「これは私の肉である」、ブドウ酒の杯を回して「これは私の血である」と言う。キリスト教会はいまでもパンとブドウ酒を十字架のイエスの肉と血に見立て、ミサという儀礼を行っています。
  • 現在のローマ教皇はアルゼンチンの首都ブエノスアイレス出身のフランシスコで、初代ローマ教皇ペテロから数えて266代目になる。
  • 日本でもイスラム教への入信者や改宗者は増えていくだろう。その理由の一つは、イスラム教はいわば「マニュアル型宗教」で、分かりやすいということです。キリスト教は本当に解ろうとすると解りにくい宗教です。例えば父と子と精霊の一体性というのは非常に理解しにくい。イスラム教の場合は、そういう難しさはない。神は一つであって、ムハンマドはただの人間であって、神の命令を我々は保存している。それに従って生きていけばいい。