『天才』 石原慎太郎『天才』(幻冬舎 2016) を読む。 元東京都知事の石原氏が、かつての政敵であった田中角栄の自伝を一人称で綴る冒険作である。多分に石原慎太郎自身の政治観が滲み出ており、日中共同声明や独自の資源外交を展開した才気あふれる政治家田中角栄に対し、米国がロッキード事件を契機に潰しにかかったという流れとなっている。後書きの中で、著者は現在も米国の植民地状態となっている日本で、田中角栄という天才政治家の存在感を表したと述べている。 戦前の政治家になる前の少年、青年期の話は興味深かった。
『コンビニ店長』 日下忠『コンビニ店長:24時間営業中』(二見文庫 2017)を読む。 男性向けの官能小説で、コンビニのシーンからなんの脈絡もなく濡れ場の場面に突入する。徐々に盛り上がっていく過程がすっぽりと抜け落ちてクライマックスの描写だけが連続するので、ちょっと付いていけなかった。アダルトビデオを無理やりノベライズさせたらこんな感じだろうか。