田中義恭・星山晋也編著『目で見る仏像・天』(東京美術 1987)を読む。
「天」とは、そのほとんどが元来バラモン教等異教の神々であって、仏教に採り入れられて、仏法を守護する護法神とされたものである。これらの神々が天上界に住んでいるところから天の名称がつけられたと言われている。天の中には梵天、帝釈天、四天王などのようにインドにおいて早くから仏教に取り入れられたものも多い。
不殺生を旨とする元来の仏教とは異なり、金剛力士や四天王、毘沙門天、十二神将など、戦いの神が多いのが特徴である。また、鬼子母神や、毘沙門天の妃である吉祥天、梵天の妃ともされる弁才天など、女性を象徴した神も多い。さらには、象同士が抱き合った歓喜天や、恵比寿さまとしても知られる大黒天、閻魔王など、癖のある神が名を連ねる。