本日の東京新聞朝刊の地球温暖化に関する連載に、秋の味覚の代表格であるサンマが大不漁で、2019年秋の水揚げ量が過去最低の5万2千tを大幅に下回る37,715tであったとの記事が掲載されていた。
近年の魚食ブームで、日本だけでなく中国や台湾でもマグロやサンマの漁獲量が増大したのも理由に挙げられるが、やはり海水温の上昇が大きな要因である。ちょうど銚子から三陸海岸沖が暖流(黒潮)と寒流(親潮)が出合う潮目(潮境)にあたり、大漁のプランクトンが発生するすぐれた漁場となる。しかし、近年は暖流の勢い強く、サンマが北海道から南に来なくなったのが原因とされる。サンマは「回遊魚」なので、餌場を求めて広い範囲を移動するのだが、「寒海魚」ゆえに暖かい海にはやって来ない。
記事にもある通り、このまま温暖化が進めば、サケ、マス、タラ、にしん、サンマなどの寒海魚が日本の食卓に上る日は減っていくのであろう。
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『16歳だった』
中山美里『16歳だった:私の援助交際記』(幻冬舎 2005)を読む。
タイトルに惹かれて手に取ってみた。著者は現在フリーライターとして活躍している。エンコーだけでなく、レイプ、乱交、ガンジャ(大麻)や覚醒剤を吸うシーンまであり、一時期流行ったケータイ小説のような展開で、実際の体験記なのか、全くのフィクションなのか、よく分からない作品となっている。最後は太宰の「人間失格」のように、廃人みたいになり、再び家族という鞘に収まっていく。
気になったところを引用しておきたい。
(援交に慣れてきて)男のジャンルも覚えた。女馴れしていて女子高生にも興味のある男、まったくもてそうにないロリコン好きのいわゆるオタク。だいたいそれのどっちかだ。(中略)ロリコン好きは女子高生の記号にこだわる。セーラー服や鞄。髪の毛の色。ルーズソックス。
あたしは援交と名のついた売春をしたくてしたくてたまらなかった。あたしの体がお金になる売春。触れたくもない相手とセックスをして、お金をもらう。それは高ければ高いほどいい。その相手が同情できないくらい醜くて、値段が高いほど、あたしは嬉しかった。
あたしは援交オヤジとたいして変わらない。
もてない男が高いお金を払って若い女の子とセックスをする。なんのサービスもしてくれない。技術もない女子高生を喜んで買う。自分がこんなにお金があるから若い子とセックスできるとオヤジが喜ぶように、あたしはあたしで最低価格五万円というお金で自信のない自分に価値を見いだした。あたしは少なくとも五万円払う価値のある女なんだと。あたしは、醜い相手から高い対価を奪うようにもらうことに悦びを感じたのだ。
記号としての女子高生や性のブランド化など、1990年代後半の宮台真司を思い出させるセリフである。
「『極端な気象』大被害」
本日の東京新聞朝刊に、地球温暖化による甚大な災害をもたらす「極端な気象」に関する記事が掲載されていた。極端な気象とは、一昨年の西日本豪雨や昨年の台風19号で歴代1位の箱根での1日の降水量922.5mmの記録、全国的に1日に100mm以上の大雨が降る日の増加に見られるように、日本近海の海水温の上昇が原因と見られる異常気象である。
海水温が上がると、海面上の空気も温められ、飽和水蒸気量(空気が水蒸気)が大きくなるのでより降水量が多くなる。逆に海水温が下がると飽和水蒸気量が小さくなるので、降水量が少ないというのは、昨年の地理Aの授業の南米のところで強調したところである。フンボルト海流(ペルー海流)やガラパゴス諸島、ゾウガメやイグアナなどの単語を覚えているでしょうか。
近年、房総半島周辺で熱帯の海にしか生息できないサンゴ礁やクマノミ、キンチャクダイが見つかっている。大気温に比べ水温は変化が少なく、1度の違いでもそこに生息する海洋生物にとってはとてつもない大きな影響を及ぼす。
イギリスでもj、周辺の北海海域の水温上昇で、名物料理のフィッシュ・アンド・チップスに使われるタラやハドックなどの寒海魚が姿を消しつつあるという。日本でも、ニシンやホッケ、タラなどの寒海魚が獲れなくなってしまうかもしれない。また、授業内容の変更が必要なのか。。。
『自分のことだけ考える。』
堀江貴文『自分のことだけ考える。:無駄なものにふりまわされないメンタル術』(ポプラ新書 2018)を読む。
大変面白かった。彼自身の人生哲学が素直に語られている。タイトルに「自分のことだけ」とあるが、最後の章題は「他者を巻き込んで生きていく」とあるように、決して自分勝手とか、自己中心的な考え方ではない。恥をかくことをおそれ消極的になったり、いつまでも過去の失敗にくよくよしていたり、他人にとやかく言われることを事前に予想して行動を制限することの馬鹿らしさを力説する。著者は冒頭で次のように述べる。
自分が「正しい」と信じることを、やるしかない。
自分が「必要だ」と感じるものを、手に入れるしかない。
自分が「後悔しない」と言える、好きな道を行くしかない。
自分が「こうだ!」と決めたことを、努力し続けていくしかない。もちろんその結果、失敗するかもしれない。
もしかすると、誰かに裏切られるかもしれない。
さらに言えば、大きな損失を負う羽目になるかもしれない。でも、それは、自分の責任だし、失敗したってそのとき反省して、また自分を信じて真剣にやるだけだ。(中略)
でもほとんどの人は、まるで反射のように「できない言い訳」を考えてしまう。(中略)
本書にはそうした「思い込み」「常識」「言い訳」などを振り払って、今すぐ前に進んでほしいという願いを込めた。(中略)
自分のやりたいことにブレーキをかけてしまっている人が、まずは常識、考え方を変えるきっかけにしてほしい。それに、現代を生きていると、本当に「無駄なもの」が多い。
無駄なものは、僕たちから時間や気力などの大事な資源を奪っていく。
それが現代社会の不合理なところだ。だからあなたには、そんなものをうまく遠ざけて、心をフラットにして生きてほしい。たとえば「他人の正義感」「妬み嫉み」「感情論」「慣習」「駆け引き」「嘘」……。
これらにふりまわされて時間を浪費するほど愚かなことはない。僕にも、そしてあなたにも、そんな時間はないはずだ。(中略)チャレンジしようとする者には、必ず批判する者がいる。
常識を打ち破ろうとする者には、必ず抵抗勢力が現れる。
そして、目立つ者は、多かれ少なかれ必ず叩かれる。
本書で印象に残った部分を引用しておきたい。
「何だよ!」なんて言って斜に構えていると、自分のほうが立場が上になったように錯覚するから、気はラクになるかもしれない。でも、それで得することなんて何もないのだ。(中略)
斜に構えた段階で、その人はもう「負け」。
自分にできないことをやっている人を見て、嫉妬したら「負け」。
何事も学びのチャンスだと思い、自分に取り入れられることを見つけたほうがいい。
人の成功に嫉妬することの無意味さを、肝に銘じてほしい。
学校の弊害の一つに「いじめ」がある。毎日、同じ先生、同じ生徒で同じ教室に集まって、画一的な授業を受けていると、いじめをする人間が現れる。
いじめに、特に理由なんてない。毎日、好きでもないのに狭い教室に閉じ込められていると、「あいつ、ちょっと変だな」と思った途端、いじめたい衝動に駆られる馬鹿なやつが出てくる。
こういうものは全世界であることで、いじめを完全になくすということはできないと思う。だから、いじめはなくすのではなく減らすという方向で考えたほうがいい。では、どうすればよいか。
答えは簡単。いじめられそうになったら受け流したり逃げたりすることだ。
「ペットボトルから缶へ」
本日の東京新聞夕刊に、海洋プラスチック汚染への対処として、企業や官公庁でペットボトルから缶へ移行が徐々に進んでいるとの記事が掲載されていた。
アルミ缶のリサイクル率は94%、ペットボトルは同84%となっている。いずれも欧米に比べ極めて高い率となっている。但し、国連環境計画(UNEP)によると、日本国民一人当たりのプラスチック容器ゴミの排出量は年間約32kgで米国に次いで世界ワースト2位である。
日本の夏はヨーロッパに比べて寒暖差と乾湿差が大きく、冬の寒さと乾燥により暖かい飲料が好まれ、夏は熱中症対策で水分補給が欠かせない。日本と飲料は切っても切れない関係である。江戸時代からいつでもどこでも水を飲むという習慣が日本の生活に根付いている。
ペットボトルの飲料を飲むなということではなく、マイバッグやマイボトルを持ち歩く方が、節約に繋がるしカッコいいという宣伝が必要である。芸能人やユーチューバーが広告塔になっても良いし、学校教育の中で環境教育を進めていくことも一案である。2年後から始まる地理総合の中で、海洋汚染をとりあげつつ、家庭基礎の消費者教育と連携する総合的学習も考えられる。