日別アーカイブ: 2019年8月3日

『笑える! 世界の七癖 エピソード集』

岡崎大五『笑える! 世界の七癖 エピソード集』(PHP新書 2009)を読む。
海外ツアー専門の添乗員として世界83の国々と接してきた著者が,日本とはかけ離れた世界の常識について,面白おかしく語る。
最後に著者は次のように述べる。

 いまのビジット・ジャパン・キャンペーンでは,なにより日本の山と海の美しさをアピールするのが大切なのではないだろうか。
世界のどこの国の人たちも,世界有数の先進国で工業国の日本が,これほど自然に恵まれた島国だったとは想像できないでいるのだ。
また,日本を旅する多くの外国人旅行者たちが,日本の自然の美しさを賞賛している。もっと彼らの発言に耳を傾けるべきである。
ここで日本が誇る,とっておきの美景を紹介する。これは美しい癖に入れてもらいたい。それが駿河湾などの海から見える富士山である。
この広い世界のなかで,3000メートル級の雪をかぶった高い山が,海から見えるのは富士山くらいのものである。
世界的な観光地であるハワイのマウナケア山も,海から見えないことはない。しかし,白と青のコントラストやシルエットの美しさは,富士山の比ではない。
日本人は,まだまだ自分の意外な奇癖に気づいていないのである。

「ロ首相,4年ぶり択捉島」

本日の東京新聞朝刊に,ロシアの首相が択捉島を訪問したとの記事が掲載されていた。
地図帳は世界の趨勢に合わせて,毎年(毎月?)更新されている。しかし,小学校,中学校,高校では文科省がきちんと検定した地図帳しか使用することができない。その大きな理由は,国境と台湾問題を含めた東アジア情勢である。現在日本政府は,北方四島,竹島,尖閣諸島を含めて日本の領土としており,そうした領土がきちんと画定されていない地図帳は文科省の検定をクリアーすることはできない。

また,日本は1972年日中国交正常化の際に,中華人民共和国政府を「中国の唯一の合法政府」とし,台湾は中国の一部という見解を承認したので,台湾が完全な独立国であるという表記は認めていない。しかし,台湾は米国と軍事同盟を結んでおり,冷戦時代には日本と同じく西側諸国の一つであった。日本と台湾は正式な外交関係はないものの,民間団体が中心となって経済的には不即不離の関係となっている。そのため,台湾をクローズアップすることはしないものの,独立国に似た表記をすることとなっている。地理Aの教科書にも地理Bの教科書にも台湾だけの章立ては存在しない。しかし,「アジアNIES」や中国の経済特区などの経済面では取り上げられる微妙な記載となっているのは,日本政府の微妙な見解が反映されているからだ。

さて,北方四島である。択捉島,国後島を含めて北方四島は,歴史的に日本の固有の領土であることは間違いない。しかし,日本はロシアに原油や天然ガスなどの資源を頼っているため,強く言い出すことができない。またロシアの方も日本のエネルギー状況を強気の外交姿勢を崩していない。いま日露外交の話題にのぼっている北方四島を経由する天然ガスのパイプなど作ってしまったら,択捉島や国後島は永久に返ってこないであろう。地理選択者は日本のエネルギー政策という観点から,領土問題を展望してほしい。