第148回芥川賞受賞作,黒田夏子『abサンゴ』(文藝春秋 2013)を1ページだけ読む。
芥川賞受賞時に75歳という年齢が注目を浴びた作家である。横書きで書かれた表題作の他,著者が20代の頃に書いた「タミエ3部作」が収録されている。「abサンゴ」は失礼ながら,夏目漱石の『夢十夜』のつまらなさと樋口一葉の『にごりえ』のような違和感を組み合わせたような作品で,全く読む気がしなかった。
1963年に発表された小説「毬」の中に,グリコ・チョコレイト・パイナツプルの遊びが紹介されていたのが目を引いた。私たちの頃と全く同じルールで「へえ〜」と思った。日が落ちて暗くなったり段々距離が開いたりして,お互いの出した手の形が見えなくなり,大声で自分の出したのが何であるか叫び合ってインチキをするというくだりは小学校時代を思い出して面白かった。