日別アーカイブ: 2019年8月15日

『人体再生』

立花隆『人体再生』(中央公論新社 2000)を手にとってみた。
本論の方は専門用語がたくさん出てきて読みきれなかったが,立花氏の解説が分かりやすくて,何となく全容を理解した気になってしまった。

序章の中で,本人の幹細胞や高分子化合物などを用いて,欠損した組織を自身の細胞の力で再生させる再生医療の最前線について論じている。心臓移植や肝臓移植などの移植医療は一般的だが,一生免疫抑制剤を飲み続けなくてはならず,著者は前世紀の技術であると断じる。

当時最先端であった,ティッシュエンジニアリング(生命工学と医学の組み合わせによる米国の再生医療)に関わっている日本人の研究者たちとの対談集となっている。20年前の本なので,iPS細胞が登場する以前の話である。しかし,当時から山中伸弥教授も在籍した京都大学の再生医科学研究所が日本の研究の中心となっている状況が理解できる。

「印パ対立激化」

本日の東京新聞国際面に,カシミール地方を巡るインドとパキスタンの軍事衝突の危険に対する記事が掲載されていた。

気になったのは,下段の記事で,カシミール地方の一部領有権を主張する中国が,インドとの対立から,パキスタンを全面的に支持しているという内容だ。パキスタンと言っても,日本人にはピンと来ない国である。砂漠が広がり,イスラム教のあまり金持ちではない国というイメージであろうか。地図を見れば分かるが,パキスタンは日本の国土の2倍の面積があり,しかもインド洋に面しており,人口も2億人近い。インド洋の経済支配を狙う中国にとって魅力的な市場である。

カシミール問題が,インドと中国の2大国の代理戦争となってはいけない。また,インド人もパキスタン人も日本にたくさん住んでおり,郊外を中心にコミュニティーも形成されているので,カシミール紛争による移民や難民が日本に大量にやって来るという事態は容易に想像できる。