立花隆『人体再生』(中央公論新社 2000)を手にとってみた。
本論の方は専門用語がたくさん出てきて読みきれなかったが,立花氏の解説が分かりやすくて,何となく全容を理解した気になってしまった。
序章の中で,本人の幹細胞や高分子化合物などを用いて,欠損した組織を自身の細胞の力で再生させる再生医療の最前線について論じている。心臓移植や肝臓移植などの移植医療は一般的だが,一生免疫抑制剤を飲み続けなくてはならず,著者は前世紀の技術であると断じる。
当時最先端であった,ティッシュエンジニアリング(生命工学と医学の組み合わせによる米国の再生医療)に関わっている日本人の研究者たちとの対談集となっている。20年前の本なので,iPS細胞が登場する以前の話である。しかし,当時から山中伸弥教授も在籍した京都大学の再生医科学研究所が日本の研究の中心となっている状況が理解できる。