日別アーカイブ: 2019年6月30日

『88ヶ国ふたり乗り自転車旅』

宇都宮一成・宇都宮トモ子『88ヶ国ふたり乗り自転車旅:中近東・アフリカ・アジア・ふたたび南米篇』(幻冬舎文庫 2017)を読む。
1997年6月から2007年11月までの10年半をかけてタンデム自転車で世界88ヶ国・105,805kmを走破した旅日記である。二人乗り自転車の快適さや心地よさは伝わってきたが,現地の人たちとささいな事でトラブルになったり,日本円を持ちながらもケチくさい行動が目に余ったりと,読後感はあまり気持ちの良いものではなかった。

「おっ!」と思っても止まれないバスの旅や,スピードが速すぎて見落とすことの多い車・モーターバイクの旅に比べて,自転車の旅は自由と発見に満ちている。今見えているものが,風,匂い,光とともに記憶に沁み込んでゆく。それがおもしろい。だから僕たちは自転車で旅に出た。そして今も走り続けている。

海洋プラスチックごみ問題 追記

日本近海から出された海洋ゴミは,太平洋を時計回りに流れる北太平洋海流に乗って,カリフォルニア沖合(太平洋ゴミベルト)に溜まることが分かっている。昨日閉幕したG20大阪サミットで,海洋プラスチックごみゼロが首脳宣言に明記されたが,達成目標は2050年!?と30年も先の話である。

3年後に高校で始まる「地理総合」は,基礎的な地球科学の見地に立って自然災害や環境問題を考える科目である。「環境を守ろう!」とスローガンを繰り返すだけのつまらない授業ではなく,系統地理に基づいて持続可能な社会を提言したり,環境負荷を減らす方策を考える実験などの楽しい授業を計画していきたい。

「日本,IWC脱退 商業捕鯨あす31年ぶり再開」

本日の東京新聞朝刊に,日本が国際捕鯨委員会を脱退し,明日から領海(1852m×12海里=22.2km)と排他的経済水域(1852m×200海里=370km)内で商業捕鯨を再開すると記事が掲載されていた。

これまで日本は「調査捕鯨」という名目で,南極周辺の南氷洋やアリューシャン列島以北のベーリング海周辺で年数百頭のクジラを捕獲してきた。国際的枠組みで禁止されているにも関わらず,クジラの生態を調査するという目的で,商業ベースに近い捕鯨を30年近く続けてきたのだ。そうしたグレーな調査捕鯨を廃止し,国際捕鯨委員会を脱退した上で,EEZ内で捕鯨を再開するというのは分かりやすい動きである。

但し,商業捕鯨に関しては,賛成派も反対派も数値データよりも,水掛け論になりがちな文化や宗教をもとに主張を繰り返している。日本政府も「鯨食文化」に固執するが,果たしてどこまで復活するであろうか。小学校の頃,給食でクジラの竜田揚げが出たが,子供の味覚ではあまり美味しいとは感じなかった。

また,昨年インドネシアの国立公園の海岸に打ち上げられたマッコウクジラの死体から、6キロ近くのプラスチックごみが発見されたり,タイ南部では80枚あまりのプラスチック袋を飲み込んだゴンドウクジラが衰弱死したとの報道もある。クジラは肉食なので,他の魚の体内にあったプラスチックも一緒に飲み込んでしまう。タイのゴンドウクジラは救助活動の途中に5枚のプラスチック袋を吐き出したとのこと。国際捕鯨委員会もクジラを守りたいのであれば,商業捕鯨を巡って対立する前に,法の目を逃れて海洋に排出されるプラスチックゴミ問題に一丸となって取り組むべきであろう。

参考動画