本日の東京新聞夕刊に、ポーランドのワシチコフスキ外相が4日、第二次世界大戦のナチス・ドイツの侵攻による被害が1兆ドルを超えるとの見方を示し、「1939年の侵攻が両国関係に影を落としていることについて、ドイツと真剣に話し合う必要がある」と述べたとの記事が掲載されていた。
ワシチコフスキ氏は「ポーランドが破壊され、ひどい犯罪行為があり、補償が支払われていないのは事実だ」とした上で、賠償請求に関して準備していると説明し、メディアや司法の統制を強めるポーランドの強権的な政策を批判するドイツを牽制している。一方ドイツ側は、オーランドが戦後賠償請求を放棄したため請求権は既に消滅したとの立場を取っており、ポーランドが実際に賠償請求すれば、両国の対立に発展する恐れがある。
日本は歴史に向き合わず、戦後補償もサンフランシスコ条約や日中平和友好条約、日韓基本条約で解決済みという姿勢で、周辺国との対話を拒否してきたが、一方、ドイツはナチスの歴史に真摯に向き合い、戦後補償をきっちりと行ってきたので、周辺の国から信頼を得てきた。何かの本でそんな内容の文章を読んだ記憶があり、戦後処理においてドイツは日本の手本のように感じていたのだが、上記のようなポーランドとの軋轢があるとは知らなかった。ポーランドが戦後請求を放棄したというが、韓国が請求を放棄したのと同じである。条約の文面だけでなく、冷戦や軍事政権といった歴史を考慮してもう一度、検証していく必要があるだろう。ドイツとポーランド間においても歴史認識の共有化作業が求められるだろう。