谷恒生『陰陽道☆転生 安倍晴明(源平争乱)』(徳間文庫 2000)を読む。
安倍晴明や蘆屋道満らの陰陽師が源平争乱期に出没し、後白河院や源義経らに権謀術数や鵯越の奇襲などの入れ知恵をして歴史を動かすというファンタジー小説である。安倍晴明らが前面に出てくるフィクションではなく、史実に忠実に作られており、歴史小説として楽しむことができた。特に、木曽義仲について詳しく書かれており、頼朝と義仲の関係が少し理解できた。
目下、天下は京都から西国にかけてを勢力圏とする平家、関東十カ国を支配する鎌倉政権、信州から北陸一帯を斬り従えた木曽義仲と、三分され、箱庭のように小さいながらも、中国の三国志的様相を呈している。