長尾藤三『熱愛自転車塾:もっともっと深〜く長〜くジテンシャを愛する法。』(五月書房 2009)を読む。
60代後半になる著者がロードバイクを中心に、走る時の姿勢やカーブの曲がり方、自転車の整備の仕方、用品の選び方など、分かりやすく解説を加えている。肘の使い方やハンドルの握り方、力の加え方などをイラストや写真ではなく、言葉だけで説明しており、却ってすんなりと理解することができた。
腰を立てることで下半身と上半身を上手く連携させる点や、肘の力を抜くことで柔軟に体の筋肉を使う点など、自転車も武道や他のスポーツと同じなんだと改めて理解した。
本論とはあまり関係ないが、エピローグの一節が興味深かった。引用しておきたい。
技術と経済って奴は、アクセルしかついてないからね。停まることを怖れて、とにかく前へ前へと進みたがる。ハンドルとブレーキの役割をするはずの政治は、今や経済のしもべで、主義主張に関係なく、世界中の政治課題はどの国でも
「どうすればもっと景気はよくなるか」
もうひとつのハンドル&ブレーキ役の思想は、もう存在しないかと思うほど無力です。