日別アーカイブ: 2016年9月4日

『遺骨』

内田康夫『遺骨』(角川文庫 2001)を読む。
四国にある寺に父の遺骨を納骨したいと申し出た、ある薬品会社に勤める男が殺害され、骨壺の行方が分からなくなる場面から始まる。
実はその薬品会社が旧731部隊の幹部が設立した医薬品メーカー「ミドリ十字」を想起させるものであり、骨壷の中には、戦時中の強制労働連行により足尾鉱山で働いていた韓国・朝鮮人たちが、731部隊に実験材料とされた証拠が入っているという、なかなかの社会派ミステリーとなっている。
終戦後の大陸からの帰国時の混乱や、在日朝鮮人の帰還事業なども物語の背景となっており、歴史の闇を切り裂く意欲作である。
謎解きミステリーとしては、あまりにご都合主義的な展開が気になるが、読後感は良かった。

最勝院

2016-09-04 13.52.55

子どもたちとサイクリングがてら、春日部駅西口にあるララガーデンへ出かけた。
その帰りに春日部駅東口にある最勝院というお寺へ立ち寄った。真言宗智山派の寺院であり、南北朝時代に後醍醐天皇に味方して戦った武将春日部重行公の墓もあるとも言われている。
東口の再開発でビルの合間に埋没し、門構えこそ新しくなったが、境内に入ると少しだけ気分も清澄としてくる。