長澤政次編著『公民館で学ぶ−自分づくりとまちづくり』(国土社 1998)をぱらぱらと読む。
戦後日本に生まれた公民館は、1946年に当時の文部省社会教育局公民教育課長であった寺中作雄氏の構想に拠るところが多い。寺中氏は「公民教育こそ戦後日本を民主主義的に再建する為の原動力であ」ると述べ、民主国家建設に向けて、すべての国民が豊かな文化的教養を身につけ、他人に頼らず自主的に物を考え平和的協力的に行動する習性を養うための公民館事業がスタートした。
本書はそうした理念を重んじながら、民間委託、経費削減の憂き目に晒されながらも創意工夫を重ねている公民館活動がまとめられている。千葉県佐倉氏、木更津市、君津市、習志野市などの千葉県各地の公民館職員の筆によるものであり、住民のニーズをしっかりと受け止めようという職員の真摯な取り組みの様子が伺われる。
公民館は行政や教育などのように国や都道府県の管轄にあるものではなく、すべて市町村が運営するものであり、地元自治体の考え方や職員の配置で大きく様相が異なる。公民館の充実ぶりはその自治体の総合力を占う指標となるものである。公営、民営を問わず、暮らしやすさの基準として公民館をみていきたい。
『公民館で学ぶ』
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