小宮一慶『ビジネスマンのための「読書力」養成講座:小宮流 頭を良くする読書法』(ディスカヴァー携書 2008)を読む。
経営コンサルタントの肩書きのかたわら、明治大学大学院会計専門職研究科で特任教授も務める著者が、経済やマーケティング、経営、会計、ヒューマンリソース・マネジメントなどの専門ビジネス書を通じて、「論理力」を鍛える読書術を指南する。
著者は読書を5つのフェーズに分類する。
- 速読〜求める情報を検索し、調べるための読み方
- 通読1〜全体をざっと通しで読んでいって、読書を楽しんだり、必要な知識を得ながら大枠をつかむことが目的
- 通読2〜論理的思考力を身につけ、自分の考えをより深めていくことを目的に、線を引いたり、メモをとったりしながら読んでいく読書法
- 熟読〜自分の専門分野や興味のある分野の本を、全部読まなくていいから必要なところだけ、リファレンスを参照しながら読む
→およそ30時間で、ある分野のことがかなり理解できるようになる - 重読〜哲学や思想に関する本を何度も繰り返し読み、「意味」を得るだけでなく、「意識」を高めるための読書
著者は「本をほんとうに自分の身になるように読む」方法として、仮説を持つことが大切だと指摘する。自分の仮説や考え方が正しいのかどうかを見極めようという気持ちで読むと、本の読み方がまるで違ってくる。ビジネス書を読む際に、「お客さま第一」や「成功している会社は、キャッシュフロー経営を行っている」といった視点や仮説をベースにして読んでいくと、より深く著者の考えを読み解くことができると述べる。
そういえば、小説でも一般書でもレポートをの主題を意識しながら読んでいくと、何気ない文章でもふと目が留まることがある。自分自身の関心と著者の考えが交わったのである。普段の読書でも仮説やテーマを意識していきたい。