日別アーカイブ: 2015年3月2日

『小出裕章が答える原発と放射能』

遅ればせながら、小出裕章『小出裕章が答える原発と放射能』(河出書房新社 2011)を読む。
40年以上にわたって反原発運動に関わってきた京都大学原子炉実験所助教の小出氏が、一般の人から出された質問に答える問答形式で、3.11の原発事故の問題点を明らかにしていく。
何度聞いてもイメージが掴みにくかった、放射能のエネルギーがDNAを含めた体内の分子の結合を引き裂く被曝の実態や除染作業の効果について、具体的な数値を用いながら、先生が生徒に教えるように分かりやすく解説されている。
特に、被曝によるがんの発症率がぐんと下がる50歳台、60歳台の人たちが福島の農産物を積極的に食べ、福島の第一次産業を守るべきだという主張は興味深かった。突拍子もない意見のように聞こえるが、被曝の度合いや基準など正確なデータに裏付けされている主張だけに説得力がある。

『風車のある風景』

野村卓志『風車のある風景:風力発電を見に行こう』(出窓社 2002)を読む。
2002年当時の日本の各地にある風車の風景写真や風車の仕組み、風力発電の概要が収められている。
「ほとんどの風車の色は、淡く白っぽい単色が用いられ、背景の中で浮かび上がらない配慮がされています」と筆者は述べるが、写真を見る限り、日本の田園風景の中ではやはり浮き上がって見える。やはり日本では景観的にも騒音対策上も、海上に建てる方がよいであろう。

『ドイツは脱原発を選んだ』

ミランダ・A・シュラーズ『ドイツは脱原発を選んだ』(岩波ブックレット 2011)を読む。
フクシマの事故の後、ドイツのエネルギー政策が大きく転換した経緯について、分かりやすくコンパクトにまとめられている。
ドイツの脱原発の舵取りが決して難しいものではなく、日本も真似できるはずだという結論となっている。