『秋田殺人事件』 コメントを残す 内田康夫『秋田殺人事件』(光文社文庫 2004)を読む。 2002年に刊行された本の文庫化である。 実際に起きた、秋田県や秋田銀行などが出資した第3セクターの会社による欠陥住宅販売事件をもとにしたミステリーである。 勘が冴え渡る浅見光彦氏のヒーロー譚の味は少し抑えられ、地方の県の閉鎖性やなれ合い体質を非難するセリフが浅見氏の口から語られる。 因循な体質の県庁や県議会、県警に正義の鉄槌が落とされ、読者が溜飲を下げるような結末となっている。
『橋梁のある風景』 コメントを残す チーム旅写人『橋梁のある風景:東北編』(彩風社 2010)を観る。 東北地方のローカル線の走る橋梁の写真集である。深い渓谷や大きく蛇行する河川などに架かる橋梁と共に、その上を走る鉄道列車が一緒に一枚の風景写真に収められている。 奥深い山の緑や無骨な橋脚といった「静」の世界と、鉄道の「動」の世界のコントラストが目に鮮やかであった。