日別アーカイブ: 2014年11月11日

『ゲゲゲの女房』

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武良布枝『ゲゲゲの女房』(実業之日本社 2008)を読む。
『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家水木しげる氏を支えた、糟糠の妻である武良布枝さんの80年近い過去半生が丁寧に綴られている。
夫水木氏の仕事ぶりや家族の成長を通して、漫画だけでなくテレビアニメの初期の様子や高度経済成長期の庶民の暮らしの変化が伺われる。また水木氏自身のパプアニューギニアでの戦争体験や、戦後の混乱もぶりもきちんと描かれている。
あとがきの中の次の言葉が印象的であった。

 なんだかいまは、「家庭環境」、「結婚」、「就職」など、人生の入り口でどれだけ幸運をつかむかで、その後のすべてが決まってしまうかのように思い込んでしまう人が多いと聞きます。
 人生の入り口での状態は、といえば、水木も私も、お世辞にも、幸運だっとはいえないでしょう。でも、「いろいろなことがあったけれど、幸せだ」と素直にいえるのは、「水木が自分自身を信じ続け、私も水木を信じ続けてきた」からだと思います。自分が選んだ道をひたむきに生きていけば、「来るべきときが必ず来る」とふたりとも信じていたのです。