内田康夫『伊勢志摩殺人事件』(中公文庫 2006)を読む。
1988年に刊行された本の文庫化である。
昨夏、伊勢を訪れる際に、南紀伊勢を舞台にした小説を数冊購入しており、そのうちの一冊が残っていたので手に取ったみた。
作者の脂が乗り切っていた頃の作品で、単に観光地名を冠しただけの小説ではなく、きちんと、志摩の実情や海女の内実を踏まえた展開となっている。「伊勢」とは何の脈絡もなかったが、タイトルにふさわしい内容であった。
ここしばらく体調が悪く、やるべきこともたまっているが、地図帳片手に推理小説を読むというのは、思いっきり現実生活を忘れることができる一番の特効薬である。
映画館に通わなくなってからというのも、静かに現実逃避する機会がなく、自分でも気づかないストレスが溜まっていたように思う。仕事や家庭、人間関係で疲れているからこそ、少し冷静になれる時間を大切にしていきたい。
何だか、文章も疲れている。