宮淑子『先生と生徒の恋愛問題』(新潮新書 2008)を読む。
タイトルからするとオヤジやおばさんがよむ週刊誌の見出しのようであるが、公立学校の教師と生徒の恋愛、裁判、報道を通して、性の自己決定権や地公法の定める公務員の信用失墜行為、「わいせつ」行為の法的定義などにまで話が広がっていく。
現在は、先生と生徒の恋愛は昔以上に御法度であり、先生の生徒の間で肉体関係があったという一点だけで、教員は全て懲戒処分にするという風潮が広がっている。著者自身は「行き過ぎた処分主義の横行は、ひとが本来持っているひとを愛する素直な気持ちの芽をつんでしまうのではないかと懸念している」と述べ、男と女の恋愛は当人しか分からないものであり、「聖職」「わいせつ」「公務員」「セクハラ」「権力関係」といった点だけで全豹一斑判断を下す危険性を指摘している。
『先生と生徒の恋愛問題』
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