日別アーカイブ: 2014年6月28日

『高学歴ワーキグプア』

水月昭道『高学歴ワーキングプア:「フリーター生産工場」としての大学院』(光文社新書 2007)を読む。
著者自身が執筆当時、博士号を取得したものの大学教授への道は閉ざされ、非常勤講師で食いつないでおり、大学院博士課程を終了した高学歴者が塾講師やコンビニのアルバイトをしながら大学に籍を残し続ける現状や、そうした社会的な制約、日本の教育界の実情を丁寧に綴っている。著者自身が「高等教育現場の歪みに巣くうように出現してしまった地獄」と語るように、少子化による大学の延命策という側面を含めて始まった「大学院重点化」と就職難の狭間に陥ってしまった博士たちを巡る環境は数年経った現在でも見通しは暗い。
こうした教育論でも、「自己責任」論が振りかざされ、社会の歪みが個人に帰せられる論調に対して、著者は明確に反対の意を表明している。

『インターネット探検』

立花隆『インターネット探検』(講談社 1996)を読む。
もう20年近く前の本である。Windows95が爆発的にヒットし、インターネットやらeメール、携帯電話の普及で生活が大きく変わり始める直前の頃の話である。当時東大先端科学技術研究センター各員教授となったばかりの著者が、当時のアメリカの革新的なホームページを紹介しながら、いち早く情報革命と既存の社会や個人との関係について論じている。