島田裕巳『創価学会』(新潮新書 2004)を読む。
創価学会は、極端な報道コントロールをするため「怪しげな宗教団体」「公明党の裏に蠢く集票集団」といったレッテルが付きまとう。
著者は批判一辺倒ではなく、かつ取り込まれないよう中立的な立場で、巨大宗教組織である創価学会の分析を試みる。しかし、著者が過去のトップのコメントなどを分析すればするほど、創価学会なる組織は宗教という後光を巧みに利用した、現世利益を第一義的に追求する相互扶助組織だという側面が明らかになってくる。戦前の農村の「結」や「講」といった極めて合理的な組織となっている。
著者は次のように述べる。
いつの間にか、日本の社会には、強固な相互扶助組織、つまりは巨大な村として、創価学会だけが存在するという状況が生まれている。創価学会と長く対抗関係にあった労働組合も衰退し、相互扶助組織としての力を失っている。企業にしても、終身雇用を核とした日本的経営を維持することが難しくなり、社員の生活を丸抱えする村的な性格を失いつつある。相互扶助組織として生き残ったことが、現在の創価学会を支える最大の力となってい る。自民党が公明党を切り捨てられないのも、公明党の背後に、創価学会という巨大な村が存在しているからなのである。