日別アーカイブ: 2006年1月29日

〈公的扶助論〉

今日は朝から買い物やら勉強、練習など充実した日曜日を過ごした。公民館で生活保護法を卒読した。

生活保護法は、戦前の救護法を受け継ぎ、憲法25条の理念に基づき、国民に最低限度の生活を保障し、自立を助長することを目的として定められている。そして、制度の理念などを規定した4つの基本原理と、制度運営の実施原則を定めた4つの保護の原則に基づいて、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助の8つの扶助が実施されている。
基本原理とは、生活保護法の第1条から4条の以下の通りである。

  • 国家責任による最低生活保障の原理〜この原理は憲法25条に規定する生存権保障の原理に基づき、国の責任で生活に困窮する全ての国民に最低限度の生活を保障すると同時に、その自立を助長することを目的としている。
  • 無差別平等の原則〜保護は生活困窮の状態にあれば、信条・性・社会的身分等により差別されることなく請求できる。
  • 健康で文化的な最低生活保障の原理〜保障する最低限度の生活は健康で文化的生活水準であること。概ね、一般世帯の6割程度の生活水準が維持できるよう扶助基準が設定されている。
  • 保護の補足性の原理〜本制度は国民の最低限度の生活を保障する最終の手段であることから、受給に際しては急迫時以外、本人の資産・能力の活用が前提とされるほか、扶養義務者の扶養・他法の扶助が優先され、それでもなお最低限度の生活が維持できない場合にはじめて保護を受給できるとされている。しかし、この「資産や能力の活用」や「扶養義務者の扶養の優先」が厳しく適用されると生活保護を受ける権利が大幅に制約されてしまうことにもなりかねない。人間の尊厳を害してはならないという憲法の考え方が峻烈に問われるところである。

また実施上の原則とは、生活保護法第7条から10条の以下の通りである。

  • 申請保護の原則〜保護は本人、その扶養義務者または同居の親族の申請に基づいて開始するものとすること。
  • 基準及び程度の原則〜保護の要否および程度は厚労大臣の定める保護基準により測定した需要をもとに、本人の金銭または物品で満たすことができない不足分を扶助するものであること。
  • 必要即応の原則〜保護は要保護者の年齢別、性別、健康状態その他実際の必要の相違を考慮して行なうものであること。この原則は法の画一的・機械的運用を戒め、個々の要保護者の実情に即して保護を実施すべきであるという趣旨で設けられたものである。生活保護法は金銭・現物給付だけでなく、救護施設や更生施設、授産施設などの保護施設における保護も定めており、包括的な運用が求められる。
  • 世帯単位の原則〜保護は世帯を単位としてその要否や程度を定めるものとすること。