読書」カテゴリーアーカイブ

『慶應幼稚舎』

石井至『慶應幼稚舎』(幻冬舎新書 2010)を読む。
筆者の漏らすように、「名門の家庭でお金持ち、センスもよくて都会的、スマートだがスノッブな人物」というステレオタイプな先入観が強い慶應大学付属の小学校である幼稚舎の入門書となっている。校風や学校生活から、受験のノウハウ、さらには志願書に論述しなくてはならない福沢諭吉の教育思想まで丁寧にまとめられており、幼稚舎受験に欠かせない一冊である。
幼稚舎では、「先ず獣心を成して後人心を養え」という福沢諭吉の考えに従って、徹底して体を鍛えることに重きが置かれる。また6年間変わらないクラスの中で、一人一人が個性を伸ばす環境が整えられる。明治の初め1874年に開校されているのだが、大正自由教育の考えを先取りするような教育方針となっている。
ただし、良い面だけでなく、中学校や高校で落ちこぼれになったり、社会に出ても競争に弱い良い子ちゃんで終わってしまったりと、負の面もしっかりと書かれており、他校との比較も含めバランスの良い内容となっている。

『自転車三昧』

高千穂遙『自転車三昧』(NHK出版生活人新書 2008)を読む。
ちょうど半年前、自転車に乗り始めた頃に、同じ著者の『自転車で痩せた人』を読んでいる。
「ママチャリ生活」「ポタリング生活」「ロードバイク生活・思想編」「ロードバイク生活・実践編」「ピスト生活」「乗らない生活」の6章からなり、自身の体験に基づく考えやアドバイスが述べられている。
特に「ロードバイクに乗るには、思想が要る」と述べるように、クロスバイクに乗るのとは異なる関わり方や楽しみ方が求められると強調する。50歳を過ぎてから自転車に乗り始めた著者ならではの少しひねくれたこだわりが面白かった。

『朝日殺人事件』

内田康夫『朝日殺人事件』(実業之日本社 1992)を読む。
名探偵浅見光彦の神がかりな発見や推理がきらめく推理小説である。
不動産のバブル不況やJR発足後の客対応の向上、移動電話の普及、東北地方のインフラ整備など、20数年前のニュースがあちこちにちりばめられており、自分の人生のターニングポイントとして印象深い1992年当時の雰囲気を満喫する時代小説として読んだ。

『バイシクルクラブ』

ここ1〜2ヶ月かけて、枻(エイ)出版社から刊行されている『バイシクルクラブ』という自転車雑誌を30冊近く読んだ。
一応全てのページに目を通したのだが、さすがに10冊を超えるとお腹いっぱいの状態だった。
フレームの作られ方やホイールの種類、MTBバイクの操作法など、専門用語やブランド名などの知識だけは一丁前についた。
百万近くするフレームや数十万円のホイールなどをずっと見続けてきたので、20〜30万円の完成車がやけにお安く感じてしまっている感覚が怖い。

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『呼吸入門』

齋藤孝『呼吸入門』(角川書店 2003)を読む。
ちょうど呼吸の仕方について悩んでおり、古来より日本人が重んじてきた呼吸の意味や正しい呼吸の具体的な方法など大変参考になった。
齋藤氏は、身体全体をリラックスさせ、横隔膜を下げた状態のまま、臍下丹田を意識し「3秒吸って、2秒溜めて、15秒で吐く」という「呼吸の型」を提唱する。特に息を吸うことよりも、ゆっくりと吐くことの大切さを説く。そして、呼吸を整えることで、気持ちをコントロールしたり、自己を客観的に見つめ直したり、相手とのコミュニケーションの間を図ったりすることができると述べる。

孫引きになってしまうのだが、教育と呼吸について語る章の中で、大正新教育のリーダーで、今の総合教育の基を作った木下竹次氏の教育論が大変印象に残った。息を吐きながら噛み締めつつ引用してみたい。

 人は自由を欲するとともに束縛を欲する……思うに自由と束縛とは相対的なもので絶対に束縛もなければ自由もないはずである。鳥も空気の抵抗がなくては飛ばれない。釘も木片の反対がなくては聞かない。……束縛は自由を激成し束縛打破は自由行動者の愉快とするところである。自由行動がその束縛そのものに感謝することのすくないのは遺憾である。これを要するに縛解一如でなくてはならぬ。帯は身体を束縛する。しかし帯がなくては腹力がなくて活動自在にならぬことがある。縛即解・解即縛・学習もこの境涯に達しなくてはならぬ。(『学習言論』明治書院)