読書」カテゴリーアーカイブ

『漂泊の楽人』

内田康夫『漂泊の楽人』(講談社文庫 1991)を読む。
1986年に刊行された本で、当時数十万円もするほど高価であったワードプロセッサーに残された暗号を巡る殺人事件である。名探偵浅見光彦と、豊田商事を彷彿させる宿敵組織の保全投資協会の対決シリーズの初作である。
千曲川と信濃川の境の地形や静岡・沼津市を地図で確認しながらページを繰っていった。5インチのフロッピーや変換辞書ディスクなど、今となっては懐かしいアイテムに心を躍らされた。

『はやぶさ新八御用旅』

平岩弓枝『はやぶさ新八御用旅:東海道五十三次』(講談社 2001)を読む。
読み終えてから知ったのだが、「はやぶさ新八御用帳」という江戸の町を舞台にした一連の捕物の小説のスピンオフ作品となっている。
肥前守の特命を受け、江戸から東海道を通って京都まで行く主人公隼新八に次々と不審な人物や不思議な出来事が襲いかかる。地図を片手に江戸から東海道の旅を一緒に味わおうと思ったのだが、用意したのが最新版の道路地図だったので、静岡県・江尻や三重県・桑名の漁港の様子など、現在と大きく異なっており、かえって想像するのが難しかった。

『映画の中で出逢う「駅」』

臼井幸彦『映画の中で出逢う「駅」』(集英社新書 2006)をざっと読む。
京都大学大学院土木工学研究科を修了され、国鉄で駅舎の研究に携わってきた著者が、専門的見地から映画における出会いや別れの象徴ともなっている駅舎について丁寧に説明している労作である。日本だけでなく欧米映画の中に登場する駅舎についても丁寧に触れられており、著者の几帳面な性格が伺われる。ただ、新書という範疇を超えており、実際に読み通した人は少ないのではないか。
その中で、筆者の次の言葉が印象に残った。

 駅やその周辺の空間には人々の心を開放し、人間本来の感性を喚起して研ぎ澄ます不思議な雰囲気がある。駅に降り立って、時代を刻む古い駅舎に対峙すると、そこを拠点として発展してきた街と近代日本の歴史、そしてそのなかで生きてきた他ならぬ自分自身と向き合ったような感覚に襲割れる。

『原発と祈り』

内田樹×名越康文『原発と祈り:価値再生道場』(メディアファクトリー 2011)をさらっと読む。
3.11原発事故の3週間後に行われた対談内容がまとめられている。「荒ぶる神」である福島原発の鎮魂を祈っている話や、原発とゴジラの共通性から、原発事故で顕となった、祈りや諦観、心構えといった日本人の心性に迫ろうとする意欲作となっている。しかし、何の注釈もなく頭の良い二人のやり取りが続いていくため、途中で話の流れに付いていけなくなってしまった。もう少し編集サイドで手を入れる工夫があればと思った。

『「平成仮面ライダー」徹底ガイド』

株式会社レッカ社編『「平成仮面ライダー」徹底ガイド』(PHP研究所 2011)を読み流す。
仮面ライダーの武器や必殺技が紹介された子ども向けの本かと思って注文したのだが、平成仮面ライダーの人気の秘密や物語世界の解説が大半を占める活字ばかりの大人向けの本であった。ちなみに平成仮面ライダーとは、2000年以降に放映された、仮面ライダークウガ、同アギト、同龍騎、同555、同ブレイド、同響鬼、同カブト、同電王、同キバ、同ディケイド、同ダブル、同オーズとそれ以降のライダーを指す。

子どもが持っている仮面ライダー大図鑑を読んでも、どれが正統の仮面ライダーで、一体誰が正義なのか悪なのか、敵なのか味方なのか区別できなかったのだが、この本を読んで一人の正義のライダーが活躍する「昭和ライダー」との違いが理解できた。特に今まで分からなかったのが、一つの仮面ライダー作品に多種多様な仮面ライダーが登場することである。平成ライダーは「フォームチェンジ」という能力を持ち、ボディカラーや武器、構えなどの戦闘方法が変化していくのだ。また劇場版オリジナルのフォームや、「仮面ライダーオーズ」のように組み合わせによっては100を超えるフォームもあり、まるで、平成以降の日本の政党のようである。

また、仮面ライダーに変身するのも主役だけでなく、悪の組織の一員や主役の友人、さらには主役のライバルたちも仮面ライダーに変身してしまうのである。「仮面ライダー龍騎」では、一つの番組に13人の仮面ライダーが登場し、お互いに潰し合う熾烈なサバイバルゲームが展開されるのだ。正義も悪も、友人もライバルも、みんなが憧れのヒーローに変身できるという設定は、昭和の人間としては割り切れなさを禁じ得ない。

他にも、グッズ販売の関係で「スーパー戦隊シリーズ」とあえて半年ずらした日曜朝の「スーパーヒーロータイム」の設定や、他の番組とのコラボレーション、メディアミックス展開、親世代を取り込む工夫など、人気を維持している秘密の一端を知ることができた。

heiseiraida