株式会社レッカ社編『「平成仮面ライダー」徹底ガイド』(PHP研究所 2011)を読み流す。
仮面ライダーの武器や必殺技が紹介された子ども向けの本かと思って注文したのだが、平成仮面ライダーの人気の秘密や物語世界の解説が大半を占める活字ばかりの大人向けの本であった。ちなみに平成仮面ライダーとは、2000年以降に放映された、仮面ライダークウガ、同アギト、同龍騎、同555、同ブレイド、同響鬼、同カブト、同電王、同キバ、同ディケイド、同ダブル、同オーズとそれ以降のライダーを指す。
子どもが持っている仮面ライダー大図鑑を読んでも、どれが正統の仮面ライダーで、一体誰が正義なのか悪なのか、敵なのか味方なのか区別できなかったのだが、この本を読んで一人の正義のライダーが活躍する「昭和ライダー」との違いが理解できた。特に今まで分からなかったのが、一つの仮面ライダー作品に多種多様な仮面ライダーが登場することである。平成ライダーは「フォームチェンジ」という能力を持ち、ボディカラーや武器、構えなどの戦闘方法が変化していくのだ。また劇場版オリジナルのフォームや、「仮面ライダーオーズ」のように組み合わせによっては100を超えるフォームもあり、まるで、平成以降の日本の政党のようである。
また、仮面ライダーに変身するのも主役だけでなく、悪の組織の一員や主役の友人、さらには主役のライバルたちも仮面ライダーに変身してしまうのである。「仮面ライダー龍騎」では、一つの番組に13人の仮面ライダーが登場し、お互いに潰し合う熾烈なサバイバルゲームが展開されるのだ。正義も悪も、友人もライバルも、みんなが憧れのヒーローに変身できるという設定は、昭和の人間としては割り切れなさを禁じ得ない。
他にも、グッズ販売の関係で「スーパー戦隊シリーズ」とあえて半年ずらした日曜朝の「スーパーヒーロータイム」の設定や、他の番組とのコラボレーション、メディアミックス展開、親世代を取り込む工夫など、人気を維持している秘密の一端を知ることができた。