読書」カテゴリーアーカイブ

『勉強の哲学』

千葉雅也『勉強の哲学:来たるべきバカのために』(文藝春秋 2017)をパラパラと読む。
デゥルーズやガタリなどのフランス現代思想の切り口で、そもそも学ぶということの意味を深く掘り下げていく。そして、勉強することで他者との関わりを問い直すことで、言語を媒介とした認識を新たにしていくことを「来るべきバカ」の状態と定義する。

最後の章では、入門書の読み方やクラウドサーバーの使い方など、実践的な勉強方法を指南する。都合の良いところだけ引用しておきたい。

信頼できる著者による紙の書物は、検索して上位にすぐ見つかるようなネットの情報よりも信頼できる。この態度を、勉強を始めるにあたって基本とすべきです。「まとも」な本を読むことが、勉強の基本である。

読書と言えば、最初の一文字から最後のマルまで「通読」するものだ、というイメージがあるでしょう。けれども、ちょっと真剣に考えればわかることですが、完璧に一字一字全て読んでいるかなど確かではないし、通読したにしても、覚えていることは部分的です。
通読しても、「完璧に」など読んでいないのです。
ならば、ここからだんだん極論へ行けば、拾い読みは十分に読書だし、目次だけ把握するのでも読書、さらには、タイトルを見ただけだって何かしらのことは「語る」ことができる。(中略)
バイヤールによれば、読書において本質的なのは、本の位置付けを把握することです。(中略)
勉強を深めるには、多読というか、通読はしなくてもたくさんの書物を「知る」必要があります。頭なのなかにブックマップをつくる-この書物Aは、Bの影響を受けている、Bの結論はCと対立している、というような位置関係を説明できるようにする。そうすることで、ある分野の森を見渡すことができるようになる。

『一気にわかる! 池上彰の世界情勢 2016』

池上彰『一気にわかる! 池上彰の世界情勢 2016』(毎日新聞出版社 2015)を読む。
「毎日小学生新聞」で連載されていた記事に加筆・編集を加えたもので、子どもに言い聞かせるように、テロや中国情勢、アメリカ、ヨーロッパ、難民、日本経済について語る。よく勉強している人ほど、細かい内容を理解しているので、初学者に対しても分かりやすく語ることができるのだと改めて実感した。少しずつでも真似していきたい。

『蜜悦』

藍川京、櫻木充、館淳一、牧村僚、睦月影郎『蜜悦』(双葉文庫 2008)を読む。

「書き下ろし官能アンソロジー」となうっており、それぞれの作家の得意分野の作品が並んでいる。

この一週間の疲れのため、あまり集中できなかった。

『ブータン自転車旅行』

九里徳泰・林美砂『ブータン自転車旅行:ヒマラヤの秘境600キロをマウンテンバイクで走る』(山と溪谷社 1995)を読む。
この手の本は大好きなのだが、ブータン政府公認のガイドが付いて夫婦での冒険記ということもあり、あまり入り込むことができなかった。

本作で著者も述べているように、ブータンをいたずらに理想郷や秘境扱いするのは外国人旅行者の身勝手な思い込みである。実際のブータンは中国とインド、ネパールに挟まれた、人口80万人弱の小さい山岳国であり、独自の言語や文化を守るのに多大な負担を強いられている。そうしたブータンの国情はよく理解できた。

『爆笑問題の(笑)』

爆笑問題『爆笑問題の(笑):お笑い時事解説2007〜2008』(集英社 2008)を読む。
タイトル通り、2007年に起こったニュースを取り上げ、爆笑問題の漫才スタイルで解説を加えていく。福田総理や中国毒ギョウザ、高級ホテル戦争、朝青龍問題、ブログ炎上、特待生問題など、わずか12、3年前の話なのに、随分と懐かしく感じる。リーマンショックや東日本大震災、今年のコロナ禍などの日本を揺るがす問題が続出する以前の時期であり、なんとなく牧歌的な雰囲気すら感じてしまう。内容はあまり面白くなかったが、経済も順調だった2007年を改めて振り返ることができた。