読書」カテゴリーアーカイブ

『察知力』

中村俊輔『察知力』(幻冬舎新書 2008)を読む。
サッカー日本代表で活躍する中村選手が、イタリア・レッジーナやスコットランド・セルティックに移籍した際の経験から、チームが自分に求めていることやゲーム中に選手が求める動きなど、様々な場面で周囲の動きを察知しすぐに行動に繋げていくことの大切さを説く。サッカーの解説本というよりも、若者に向けた人生の秘訣みたいな内容となっている。構成作家の筆力もあろうが、読みやすい文体で一気に読了した。

『一気にわかる! 池上彰の世界情勢 2016』

池上彰『一気にわかる! 池上彰の世界情勢 2016』(毎日新聞社 2015)を読む。
毎日小学生新聞に連載された記事を元に加筆・編集された本である。イスラム国の台頭の背景や中国経済の翳り、米露対立、反目するEU、格差と紛争について、分かりやすく解説されていた。こうした冷戦の時の二極化した世界から、宗教や民族、領土、資源などで多極化する世界に対する視座として、著者は次のように述べる。

このように、玉突きゲームさながらのいろいろな要素が絡み合って、国際間の関係は変化していきます。情勢は明日はどちらの方向へ進むか、いつも不透明な部分が残っています。国際情勢に揺さぶられないためには、自分たちの”立ち位置”をふらつかせないことが大事です。表面的な”事実”に踊らされないためには、しっかりと歴史を踏まえ、その背景をとらえておくことがますます重要になってきています。それは、政治の世界だけでなく、私たち一人ひとりの考え方や行動でも同じです。

『キューバ自転車横断紀行』

小林健一『キューバ自転車横断紀行』(彩流社 2014)を半分ほど読む。
1946年生まれの著者が、タイトル通り自転車で23日間約1000kmの道のりを自転車で横断する旅行記である。著者は「輪行」に関する著書も出版しており、冒険記というよりも、普段通りの自転車海外旅行の詳細をレポートしている。

私好みのうってつけのテーマなのだが、淡々と話が進んでいくため、途中で飽きてしまった。キューバは北緯22度付近にあり、貿易風を背に東に進むと追い風をいつも受けるとか、ベネズエラと関係が深いのでガソリンが安いとか、ソ連崩壊後砂糖産業が崩壊したとか、面白い話はたくさんあるのに、著者自身にしか分からない舌足らずなエピソードが続くのでギブアップ。

それでも、キューバを取り巻く社会主義国の腐敗とラテン系なノリの生活スタイルの奇妙な調和の雰囲気は伝わってきた。

『地図を楽しもう』

山岡光治『地図を楽しもう』(岩波ジュニア新書 2008)を読む。
国土地理院で測量・地図技術の仕事に従事してきた著者が、行基図から伊能忠敬の測量技術、紙に立体を表現する際の細かいテクニックなど、かなりマニアックな内容を分かりやすく語る。

1942年の2万5000分の1の地形図には、「回」の字をかたどった回教寺院(モスク)の地図記号があったと知った。また、日本の詳細な地図を作成する上で三角点の持つ重要な意味を語るのだが、1990年以降は三角点から電子基準点へと変わっている。三角点は動かない前提なので、地図作成の基準となったのだが、電子基準点は地殻変動や地震予知の研究などに有効利用され、常に動いている大地を観測するものになっている。三角点から電子基準点へと正統に進化する中で、その果たす役割が180度逆転しているというのは面白い。

『生きた地球をめぐる』

土屋愛寿『生きた地球をめぐる』(岩波ジュニア新書 2009)を読む。
日本地学教育学会の一員として、1000を超える世界の都市を訪れた著者が、南極点や北極点を含む世界中の地学に関する名所を紹介する。ギアナ高地に始まり、アフリカ大地溝帯、アイスランド、イエローストーンなどの内的営力によって生じた奇観や、ナイアガラ滝やソグネ・フィヨルド、秋芳洞、アタカマ砂漠などの外的営力によって生まれた景観などを、訪れた際のちょっとした思い出とともに語る。200を超える世界自然遺産の全て紹介し尽くしたのかとボリュームである。