文・辻仁成、絵・望月通陽『ミラクル』(新潮文庫 1997)を読む。
中学生以上の大人向けの絵本といった内容で、母のいないアルが大人へ変わっていく瞬間を描く。最後は読者の想像に任せるような展開で、一気に読み終えた。この手の本は苦手だが、辻仁成氏の初期作品のエネルギーを感じた。
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『いつかギラギラする日』
角川春樹・清水節『いつかギラギラする日:角川春樹の映画革命』(角川春樹事務所 2016)を読む。
相当ぶっ飛んだ角川春樹の半生が詳らかに紹介されている。相米慎二監督・薬師丸ひろ子主演の映画『セーラー服と機関銃』(1981)の制作の舞台裏や自らが監督した『天と地と』(1990)の撮影トラブル、麻薬取締法で実刑4年を受けた後に作られた佐藤純彌監督『男たちの大和/YAMATO』(2005)にかける思いなどが語られる。これまでよく知らなかったが、角川春樹という人間のバイタリティがよく伝わってきた。
『12日間世界一周!』
吉田友和『12日間世界一周! 忙しくても意外と行ける世界旅行』(角川文庫 2011)を読む。
夫婦で旅を楽しむ著者が、貯まったマイレージを使って、世界10カ国の弾丸旅行に挑む。著者自身の感覚や言葉でその土地の気候や食事、観光地などの感想が綴られていて、読者も一緒に旅に同行している気分になる。また、旅の終わりに仕事を辞め、専業作家になることを宣言する場面もあり、読者を飽きさせない。
『ピラミッドは語る』
吉村作治『ピラミッドは語る:王の墓・黄金・盗掘』(岩波ジュニア新書 1985)をパラパラと読む。冒頭の著者の大学での学生運動との出会いやエジプトに渡った時のエピソードは興味深かった。大きなことを成し得る人間は、些事に拘らず、邁進していくものだと思った。
中盤以降は、エジプトの歴史やミイラの作り方の話が延々と続くのでさらっと読み流した。その中で、最後の著者の言葉が印象に残った。
考古学はすぎさった昔のことを掘りおこしていく学問です。そして考古学を学ぶ人は「時代は変わっても人間というものは変わらないのだ」ということをいくらかでも感じると思います。そこが大切なのです。我われは過去の歴史をみて現在がどのような時代なのかを客観的に知ることができるのです。考古学の存在意味の一端はそこにあると思います。
『古代遺跡見学』
直木孝次郎『古代遺跡見学:奈良・大阪・京都・滋賀』(岩波ジュニア新書 1986)をパラっと読む。
あまり興味がなかったので、読み流した。一部目を引いたところだけ引用。
滋賀県はいにしえの近江国である。この国の特徴はいうまでもなく日本最大の湖・琵琶湖の存在である。琵琶湖は海のように大きいが、潮水ではなく淡水なので、古代では淡海=オウミと呼ばれた。オウミという国名はそれから来ている。
その淡海の国名をなぜ近江と書くかというと、古代人はいまの静岡県の地方に、もう一つ大きな淡水の湖ー浜名湖ーのあることを知っており、それを遠つ淡海、琵琶湖を近つ淡海といって区別したことによる。
