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『インカの末裔と暮らす』

関野吉晴『インカの末裔と暮らす:アンデス・ケロ村物語』(文英堂 2003)を読む。
著者の関野氏は、1993年に人類の軌跡を辿る旅を南米最南端パタゴニアから始め、2002年無事にゴールのタンザニア・ラエトリに到着した冒険家でもある。

本書ではインカ帝国の末裔とも称される旧都のクスコから車で6、7時間、徒歩で2日間かかる場所にあるケロ村での人々の暮らしが写真入りで紹介されている。著者は15年間で12回もケロ村を訪れており、アンデス山脈の3000mの標高差を利用して、牧草地と農耕地を使い分け、多種多様な生態系を利用する自給自足の生活の知恵について丁寧に説明している。

高地のよく似たアルパカとリャマの違いだが、著者には容易に見分けがつくという。しかし、中にはどうしても区別のつかないものがおり、聞いてみたところ、リャマとアルパカの混血だという。馬とロバの混血のラバのように、それぞれの長所を合わせ持つ動物になるそうだ。何か冗談のような話だ。

『はじめよう微積分』

川久保勝夫『はじめよう微積分』(遊星社 1991)をパラパラと読む。
著者自身が本書の目的を「教科書のように無味乾燥に書かれたものと、興味本位で、結論だけ述べてお茶を濁すというやり方のもの(中略)の両者のギャップを埋める」ものだと述べているように、簡単な数式やグラフを用いて、微積分の全体像について分かりやすく説明している。

著者は「車の瞬間速度が微分だ」と述べる。そして刻々と変化する車の走行距離のグラフを示した上で、「微分とは、関数をグラフで表したとき、接線の傾きを求めること」と説明する。
微分が傾きを求めるのに対し、積分は面積を求めることにあると述べる。そして、複雑な曲線も簡単なもので近似し、その極限として走った距離および面積をとらえる」のが積分だと説明する。

各家庭にある電気のメーターは積算電力計と呼ばれ、時々刻々変わる電流の量をグラフに表したときの面積としてもとめられます。

『堆積学』

庄司力偉『堆積学』(朝倉書店 1971)をパラパラと読む。
堆積学とは何ぞやと思い手に取ってみた。著者自身も地層学ではなく、堆積学の定義付けから論を始めている。地層というと、現在という時間における土の層に限定されてしまい、全体が見えにくくなってしまう。堆積学は物理学や化学、生物学の観点から、風化・浸食・運搬・沈積を繰り返した結果の地層だけでなく、岩石や鉱物を含めた生成過程全般を扱う総合的な学問である。

『スペインの歴史』

川成洋著、宮本雅弘写真『スペインの歴史』(河出書房新社 1994)をパラパラと読む。
アルタミラの洞窟壁画からスペイン内戦まで、スペインの歴史が教科書風に解説されている。ブラジルを除く中南米のほぼ全ての国でスペイン語が話されているほど、スペインは知られた国であるが、世界史で登場するのは、イスラム勢力による西ゴート王国の滅亡とレコンキスタ、大航海時代のハプスブルク家のフェリペ2世、スペイン内戦くらいのものである。特に1598年にフェリペ2世がなくってからは転落に次ぐ転落であり、オランダやフランス、アメリカに戦争で負けて領土を奪われるだけの歴史である。

また、スペイン内戦は何度読んでもよく分からない。全体主義と共産主義と無政府主義の対立なのだが、途中でこんがらがってくる。

『喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな!』

齋藤孝・倉田真由美『喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな!』(集英社 2004)を読む。
それぞれの性を代表する形で、男女の恋愛観の違いについて語り合う。恋愛に必要なのは、話のつながりが分かる文脈力であり、硬い翻訳物を読むことで、会話においても主語や述語を探すように、話の取っ掛かりを見つけることができると齋藤氏は述べる。