高橋歩『人生の縮図』(A-Works 2003)、『自由への扉 DOORS TO FREEDOM』(A-Works 2007)をパラパラと眺める。職業・自由人の肩書きの著者が、海外の人物の写真と自分の生き方を探し、貫く心の叫びをポエムに託した、言葉は悪いが独り善がりな作品となっている。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『続・奈良点描』
長田光男『続・奈良点描』(清文堂出版 1985)をパラパラと読む。
奈良の歴史や十津川村の変遷、各地の旧跡、現在まで伝わる祭などが採り上げられている。その中で、吉野と中央構造線の関係ついて論考が興味深かった。吉野というと山の中の交通不便な僻地という印象が強い。しかし、不便な地と見るのは、奈良・大阪・京都などを中心に考えた時であって、この地を地形図で見た場合、ちょうど吉野は中央構造線のど真ん中にある。西は紀の川を経て四国・瀬戸内・九州へと行けるし、東は伊勢を経て東海地方へ容易に繋がるのである。飛鳥時代には大海人皇子、時代は下って源義経や後醍醐天皇など、吉野に入った人の数は多い。
また、奈良が1980年代前半まで奈良は靴下の一大生産地であったそうだ。当時から中国や韓国から安い輸入物が出回っていたが、まだまだ質の悪かったようで、国産には敵わなかったとのこと。このあと急激な円高によって、急激にシェアを落としていくのであるが、現在でも奈良は高級な靴下を生産している。
『三蔵法師インドを行く』
菅原篤『三蔵法師インドを行く:続・西遊記の旅』(筑摩書房 1984)をパラパラと読む。
仏典を求めてインドへ旅立った三蔵法師・玄奘のインドでの活躍が描かれている。物語中の仏塔の説明で次のように書かれている。
さて仏塔はどうして生まれたのだろうか?
いまから約2500年前ころにお釈迦様が亡くなったのち、その教えをしたった人たちが遺骨や歯や爪や髪の毛をつぼにいれ、塚を築き、その上にしるしを作ったものが、仏塔のはじまりであった。塚はもちろん、お釈迦さまにゆかりのある土地につくられrた。それがやがて、塚の上に記念の建物が作られたり、かざりが置かれるようになった。もちろんインドがその発祥の地であるが、仏教が東アジア全域にひろがるにつれ、方々に仏塔がたてられた。
法隆寺の五重塔やインドネシアのボロブドゥールなども仏塔が進化したものだと考えられている。
『「鉄のぬけ道」をあるく』
松尾定行『「鉄のぬけ道」をあるく:知ってて得する88のルート』(東京堂出版 2007)を手に取ってみた。
筆者自身が、本邦初の「鉄の抜け道」実態調査報告書と名打っているように、北は北海道から南は九州まで、路線こそ違うものの極めて近い駅同士を繋ぐ抜け道が写真入りでまとめられている。埼玉県では、JR高崎線の宮原駅とニューシャトルの東宮原駅を結ぶ900mの道のりに始まり、JR宇都宮線の土呂駅とニューシャトルの加茂宮駅、同じくJR宇都宮線の土呂駅と東武野田線の大宮公園駅、東武野田線の北大宮駅とニューシャトルの鉄道博物館駅の4本の抜け道が、情報量いっぱいに紹介されている。他にもマニアには楽しめるような内容が満載であったが、さすがに読んでみようという気持ちにはならなかった。
『好きなことをやれ!!』
次原隆二『好きなことをやれ!!:21世紀の天才たちへ』(集英社 1994)を読む。
インド出身のノーベル物理学賞受賞者でブラックホールを解明したS・チャンドラセカール博士や、生命に必須のタンパク質を研究しノーベル化学賞受賞者のフレデリック・サンガー博士などの生い立ちと研究に賭ける情熱が漫画で紹介されている。研究内容よりも、人物伝に重きが置かれ、小学生向けには打って付けであろう。

