伊藤勝敏『海と親もう:遊ぶ・観察する・学ぶ』(岩波ジュニア新書 2007)をパラパラと読む。
著者は生物学者ではなく、海中写真家であり、海辺に暮らす動物や植物の写真が豊富に収められている。コブダイやウミウシなどの写真が気持悪くて印象に残った。
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『黄泉から来た女』
内田康夫『黄泉から来た女』(新潮社 2011)を読む。
著者が70代後半だった頃の作品である。京都府宮津市天橋立と山形県鶴岡市羽黒町手向の2つの町を舞台に起こった連続殺人事件に浅見光彦が挑む。名探偵浅見光彦の閃き通りに謎が解けていくので、幾分興味が削がれたが、出羽三山を参拝する千葉県の講の話など興味深かった。内田康夫ミステリーとして完成度の高い作品であった。
千葉県立中央博物館のホームページから引用してみたい。
千葉県は全国的に見てもとりわけ出羽三山への信仰が盛んな地域として知られており、「男は一生に一度は三山(サンヤマ)に行くもの」という意識が根強くあります。サンヤマといえば千葉県では出羽三山のことで、サンヤマへの登拝を「奥州参り」といいます。出羽三山への登拝は、山に集まる先祖の霊を供養するためであり、また、山を巡ることで生きながらにして死後の世界を体験し、穢れに満ちた身を捨てて蘇ること(擬死再生)ができると考えられています。
『さらばモスクワ愚連隊』
五木寛之『さらばモスクワ愚連隊』(講談社文庫 1982)を20年ぶりに読み返す。
1967年に刊行された本で、何度も文庫化されている作品である。表題作の他、有名な高円寺竜三が登場する「艶歌」を含め4作品が収録されている。
ベトナム戦争やヒッピームーブメント、高度経済成長期のドタバタなどが物語の背景に描かれており、当時はかなりのインパクトがあったのであろう。
『雪煙をめざして』
加藤保男『雪煙をめざして』(中央公論社 1982)を半分ほど読む。
Wikipediaで調べたところ、著者8000メートル峰に4度、エベレストに3度の登頂を果たし、世界で初めてエベレストをネパール、チベット両側から登頂している。また、世界で初めてエベレスト3シーズン(春・秋・冬)登頂にも成功している伝説的な登山家である。著者は3度目の冬季エベレスト登頂に成功したものの、その下山中に消息を絶っている。
本書は最後のエベレスト登頂に出発する前に書かれたもので、凍傷や滑落、大怪我の様子が淡々と書いてあり、半世紀前の登山のプロの世界を垣間見た気がした。ただし、地図もなく、周囲の人に説明もなく、本当に著者自身の言葉で綴られているので、全体像は分かりにくい。
『ジオグラフィー入門』
高橋伸夫・谷内達・阿部和俊・佐藤哲夫『ジオグラフィー入門』(古今書院 1996)を読む。
全34項目で大学の地理学の入門書となっている。全国の大学で人文地理学を担当している教員が1項目ずつ担当しており、観光や交通、都市、商業など、私の苦手な分野のオンパレードである。
中国を離れて海外に移住する中国系住民は、従来「華僑」と呼ばれてきた。しかし彼らの多くは、華僑の「僑」が意味する「僑居」(仮り住まい)すなわち海外出かせぎ者という意識はすでになく、居住社会に定着している。そのような意味で、彼ら自身、「華僑」と呼ばれることは好まず、今では「華人」という呼び方が定着している。

