日本SF作家クラブ編『未来力養成教室』(岩波ジュニア新書 2013)をパラパラと読む。
新井素子さんや荒俣宏氏、夢枕獏氏など9名のSF作家が、自身の経歴を交えて、SFが描く社会を語るという内容である。あまりに雑駁なテーマで、統一感もなく、ただ作家が思いのままに書き散らした文章がまとめられている。
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『天狗の落し文』
筒井康隆『天狗の落し文』(新潮文庫 2001)をパラパラと読む。
主に90年代に著者が「小説新潮」に不定期に連載していた小説の断片が集められている。箴言や下ネタ、不条理、言葉遊びなど、著者のマルチな文才が伺われる作品集となっている。
印象に残ったものを引用してみたい。
学んだことはいったん忘れること。
よく、学んだことを口にくわえたままの人がいる。
本人の資質やルサンチマンは低いレベルにとどまったまま。若い時は前頭部が痒くなる。思考部位を使っているからだ。歳をとると後頭部が痒くなる。記憶部位を使っているからである。
『ひとの先祖と子どものおいたち』
井尻正二『ひとの先祖と子どものおいたち』(築地書館 1979)を読む。
著者の井尻氏は東京大学理学部地質学科を卒業した古生物学・地質学の研究者である。ウィキペディアによると、国立科学博物館・東京大学地震研究所勤務し、地学団体研究会の創設に参画したものの、「レッドパージ」により国立科学博物館の職を追われ、著述で生計を立てながら研究にたずさわってきた異色の経歴の持ち主である。
その井尻氏が深谷にあるさくらんぼ保育園の創設者の斎藤公子さんの招きで催された講演会の内容がまとめられている。斉藤公子さんは東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)保育実習科を卒業し、海から陸上に出て、はいはいから四つ這いへと進化していった生物の過程を真似て、水遊びや泥んこ遊び、ハイハイ運動を通して子どもの全面発達を促すというメソッドを提唱した保育者である。
ヒトの進化と保育実践という不思議な組み合わせの講演会となっている。
『桜田門外ノ変』
吉村昭『桜田門外ノ変』(新潮文庫 1990)を手に取ってみた。
水戸学の薫陶を受け尊王攘夷思想に目覚めた関鉄之助の視点から、井伊直弼襲撃事件とその後の潜行逃亡生活が描かれる。映画を観たので原作も手に入れてあったのだが、結局読まず仕舞いとなってしまった。






