『ひとの先祖と子どものおいたち』

井尻正二『ひとの先祖と子どものおいたち』(築地書館 1979)を読む。
著者の井尻氏は東京大学理学部地質学科を卒業した古生物学・地質学の研究者である。ウィキペディアによると、国立科学博物館・東京大学地震研究所勤務し、地学団体研究会の創設に参画したものの、「レッドパージ」により国立科学博物館の職を追われ、著述で生計を立てながら研究にたずさわってきた異色の経歴の持ち主である。

その井尻氏が深谷にあるさくらんぼ保育園の創設者の斎藤公子さんの招きで催された講演会の内容がまとめられている。斉藤公子さんは東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)保育実習科を卒業し、海から陸上に出て、はいはいから四つ這いへと進化していった生物の過程を真似て、水遊びや泥んこ遊び、ハイハイ運動を通して子どもの全面発達を促すというメソッドを提唱した保育者である。

ヒトの進化と保育実践という不思議な組み合わせの講演会となっている。