地理」カテゴリーアーカイブ

「再生エネの潮流に乗って発電」

本日の東京新聞朝刊に、長崎県五島市で深さ40mの海底を流れる潮流を活用した「潮流発電」の実証実験の記事が掲載されていた。
日本近海は、時速9kmにも達する黒潮(日本海流)が流れている。ネットの情報だが、黒潮の1秒間に流れる海水の量は、紀伊半島沖合で東京ドーム48個分にも相当するという。沖縄や鹿児島でも実験が展開されていたが、島の数が全国で1番多い長崎県で、一般家庭の約300世帯分の消費電力を賄える成果を得られたとのこと。

これは明るいニュースである。日本は風力も太陽光も、決して条件が恵まれている訳では無い。一年中雨や曇りがあり、太陽光の効率は高く無い。また、強い偏西風が吹く欧州と比べ、日本の気象条件では風力もベース電源とはならない。それらに比べ地熱や潮力は極めて安定したエネルギーを供給する。

この記事を読んでくれた高校生の皆さん、将来選択の一助となりませんか? 楽しそうだと思いませんか。なお、潮力発電は長崎大学や佐賀大学、早稲田大学で研究・実験されているとのこと。

「中国のハワイ『海南島』を拠点に」

中間考査の返却も終了しました。
地理Aの試験で、中国の政治経済の覇権の拡大について扱いました。また、中国で唯一熱帯雨林気候となる「中国のハワイ」とも称される海南島についてふれました。海南島は鄧小平が主導した改革開放政策の目玉である経済特区にも入っているので、中間考査の問題の選択肢の一つに入れました。

観光や経済でも成功している海南島の現状に関する、本日の東京新聞夕刊の記事からです。外国人観光客で溢れた免税店や改革開放の象徴というプラスなイメージ戦略の裏で、ベトナムやフィリピンなどと領有権で争っている、南シナ海の南沙諸島に対する軍事拠点としての性格を強めているという。

これから2年生の地理Aと3年生の世界地誌とも東南アジアに入っていきます。2年生の地理Aについては、中国の緊張関係を意識しながら進めていきたい。

「ベラルーシ国際対立辞さず」

本日の東京新聞朝刊にベラルーシ情勢に関する記事が掲載されていた。
昨年の授業で何度か話題にしたニュースである。今年の授業選択者にとっては馴染みの薄い国であるが、ロシアの西側にベラルーシという国がある。かつては「白ロシア」とも呼ばれた国で、徹底した親ロシアの国である。ロシアと欧州を繋ぐ原油や天然ガスのパイプラインの要衝に位置しており、ロシアのエネルギー戦略上極めて重要な国となっている。ロシアの後ろ盾もあり、極めて非民主主義的な国家運営が継続されている。ベラルーシのルカシェンコ大統領は1994年に初当選してから、昨年の大統領選挙で6選を果たしている。しかし、昨年の選挙で不正があったのではないかと、8月に大規模なデモが展開され、約3000年の逮捕者が出ている。

そのベラルーシで、今度は

「中国の高齢化」

本日の東京新聞朝刊の社説に、「未富先老」(未だ富まず、先に老いる:豊かになる前に老いる)、中国全体が豊かになる前に、少子高齢化が急速に進んでいるとの内容が掲載されていた。記事では触れていないが、「未富先老」という言葉は、鄧小平が1980年代に唱えた「先富論」を踏まえている。鄧小平は1980年代の沿海部の改革開放政策を主導した人物としても知られる。廈門、汕頭、深圳、珠海、海南省の5つの経済特区も、鄧小平の号令によって始まり、現在も中国の経済発展の先導役を担っている。

「中国 チベット『解放』70年」

本日の東京新聞朝刊記事より。
授業の中で触れる時間がなかったチベット情勢についての報道です。新疆ウイグル自治区への抑圧に関する報道が続いているが、中国政府によるチベットへの圧政は70年に渡って続いている。チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世は、60年以上もインドでの亡命生活を続けており、チベットに帰ることができていない。ダライ・ラマ14世の亡命後、標高4,000mから5,000mのチベット高原を越えて中国とチベットの中心都市ラサを結ぶ、総延長2,000kmの青蔵鉄道が開通した。そして、チベットはどんどん漢民族が移住し、観光産業のおかげで経済発展を続けてきた。新聞記事にもある通り、経済発展の裏で政治的弾圧は数十年に及ぶ。

中国の政治経済を捉えるには、香港や台湾だけでなく、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、インド、ミャンマーと、周辺国の政治経済と合わせて考えていく必要がある。
中間考査は終わったが、東アジア情勢への注視は続けていきたい。