地理」カテゴリーアーカイブ

ステーキガストのタブレットを見て考えたこと。

 

昨日、近所にあるステーキガストに出掛けた。
おじさんなので、肝心のお肉の前に、サラダバーとコーンスープだけでお腹いっぱいになった。そこで時間を持て余したので、注文用のタブレットを眺めていたところ、肉厚のステーキの画像が映った。説明文の中の「穀物肥育」という文言が目に留まった。本来草食動物の牛は、消化の悪い草を反芻しながら時間をかけて栄養を摂るので、丸々と脂肪が付く動物ではない。しかし、牛肉の効率的な生産のために、牛にとうもろこしや大豆などの穀物のみを与え、狭い檻に閉じ込めカロリー消費すらも抑えて太らせる肥育場(フィードロット)と呼ばれる場所で、出荷直前の数ヶ月を過ごす。下の写真は、牛肉生産世界第2位のブラジルのフィードロットの風景である。正直、過密で衛生面でも不潔な肥育場にはあまり良い印象はない。

ガストはホームページでメニュー別に「食材原産地一覧」を公開している。細かい数字は掲載されていないが、牛肉はアメリカやオーストラリア、メキシコが多くなっている。豚肉はアメリカとカナダ、鶏肉はブラジルが多い。牛肉は穀物で肥育するためか、アメリカ中西部のグレートプレーンズなどの乾燥地域を多く抱えている国が多い。写真を見るに、草も全くない刑務所のようなところで屠殺を待つ牛の気持ちはどんなだ?ドナドナドーナドーナ♫

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「黒潮『大蛇行』関東蒸し暑く」

本日の東京新聞夕刊より。
東シナ海から北上する暖流の黒潮だが、ここ数年大きく蛇行しており、日本の関東地方の太平洋岸に分岐流が流れ込み、関東地方に湿気を含んだ暖かい風を吹かせるようになっているとの内容である。世界的な海流の流れと気候の関係については、授業の中で触れたところであるが、スーパーコンピューターを用いたシミュレーションで、局所的な海流や気温の詳細な変化まで分かることに感心した。

ちなみに黒潮という名称は、流れが強く、植物プランクトンなどの粒子が少ないため、水が澄んでいて黒っぽく見えるために名付けられたもので、沖合に出ると目視で確認できるという。

「豪、中国をWTO提訴へ」

本日の東京新聞朝刊に、オーストラリアがワインへの制裁関税をめぐって、中国を世界貿易機関に提訴する方針だとの記事が掲載されていた。

問題の背景には、中国包囲網を構築する日米豪印の軍事協定の存在がある。米国バイデン大統領は、トランプ政権の中国外交を引き継ぎ、欧州も巻き込みながら中国への圧力を高めている。一方、中国側も日米豪印の一角であり、中国への依存度が高いオーストラリアを狙い撃ちにしたようである。

2019年の統計データによると、オーストラリアの貿易輸出計4,927億豪ドルのうち、中国が3分の1の34.2%を占めている。オーストラリアの輸出品目は鉄鉱石(19.5%)や石炭(13.0%)、天然ガス(9.9%)などの「一次産品」が半分近くを占めている。コロナの影響で世界的に石炭や天然ガスの需要が落ち込んでいる中で、中国への輸出問題はやがてオーストラリア経済へ甚大な損害を与えることであろう。事はワインだけでない。

 

「難民8240万人 10年で2倍超」

本日の東京新聞夕刊より。
UNHCRの調べで、自国内で居住地を追われた国内避難民を含めて、2020年末に8240万人が難民となったことが分かった。難民の出身国はアサド政権と外国が支援する反政府テロ活動が続くシリアで670万人、反政府武装組織タリバンが居残るアフガニスタンで260万人、主にイスラム教徒が多いスーダンからの分離・独立を果たした世界で1番新しい国の南スーダンで220万人となっている。またロヒンギャへの弾圧が続くミャンマーが続く110万人となっている。また、米国の経済制裁が続く、マドゥーロ大統領による開発独裁国家のベネズエラからの難民が引きも切らない。
こうした現状と問題の背景に切り込む授業を展開したいものだ。

「北朝鮮 党規約改定内容が判明」

本日の東京新聞朝刊記事より。
久しぶりの北朝鮮に関する報道である。この10年ほど、北朝鮮労働党総書記の金正恩は、創始者金日成(1948〜)、続く金正日(1997〜)と、2代続く祖父と父の権威を笠に着ることで威光を保ってきた。しかし、今後は先代までが築いてきた軍事優先政治の看板を下ろし、「人民大衆第一」の路線を打ち立てるというのだ。風を読むのが上手い北朝鮮政府なので、米中対立の最中、米中どちらとも顔を繫ぐことのできる国としてのソフト路線をポーズしたのであろう。

この北朝鮮の扱いも、地理の授業で毎年のように見直しを迫られる部分である。昨年の今頃は、金正恩の妹の金与正の強行姿勢が目立ち、米国トランプ大統領が支持を表明するなど、米国サイドによる北朝鮮カードの政治的利用に関する報道が目立っていた。今年は、米欧の関係改善もあり、欧州を味方につけるような北朝鮮外交が