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「ミャンマー国軍支援強化 ロシアが武器供与」

本日の東京新聞に、ミャンマーの軍事政権に対して、中国だけでなくロシアも支援を強化しているとの記事が掲載されていた。ミャンマーは、「一帯一路経済圏構想」を掲げる中国の貿易権拡張政策の重要地域となっている。中国は人口爆発が進むアフリカへの進出を強めている。そのため、イギリスの影響が強いマラッカ海峡を経ずに、インド洋へ直接進出できるミャンマーを支配下に治めようと躍起になっている。

一方、ロシアにとって、ミャンマーは地政学的にさほど重要な国ではない。それでも武器供与を行うということは、記事にもある通り、中国やパキスタンとの軍事同盟の絆の補強を狙ったものであると解釈できる。コロナで世界があたふたしている中で、インド洋周辺を巡って、英米印豪vs中露パの対立がいよいよきな臭くなっている。

「アフガン難民 トルコに続々」

本日の東新聞朝刊より。
イスラム主義組織タリバンが首都を制圧し、旧政府組織との内戦や自爆テロ、米国の報復攻撃などが続くアフガニスタンの難民が、トルコに密入国しているとの内容である。トルコは西アジアのイスラム国の中核を担っており治安も良い。エルドアン大統領就任後、保守的政策が進んではいるが、宗教的にも文化的にも寛容な国である。

また、地図を確認すれば分かるが、EUに加盟しているギリシャと国境を接している。授業の中でも触れたが、EU域内ではシェンゲン協定により国境の管理が撤廃され、パスポートの提示も不要となっている。そのため、数年前シリア内戦が激しかった頃は、トルコを経由してギリシアに密入国するシリア難民が100万人を超える事態となった。

また、トルコとギリシアの間のエーゲ海はアフリカプレートユーラシアプレートがぶつかる「狭まる境界」にある。そのため、エーゲ海には2500もの火山島が密集する多島海となっている。エーゲ海の島を繋いで海からギリシアに密入国する難民も後を絶たない。ちなみにアルプス山脈やイランのザクロス山脈、クロアチアやボスニア・ヘルツェゴヴィナに跨るディナルアルプスなどはプレート同士がぶつかることによって隆起した褶曲山脈である。

アフガン難民もトルコから陸路もしくは海路を経由してEUを目指しており、トルコとEUの関係もまたこじれてきそうだ。

「米、ベトナムにコロナ対策強化」

本日の東京新聞朝刊より。
国際面の小さな記事だが、南シナ海の南沙諸島の領有をめぐって米中の緊張が高まっているという背景を押さえると、バイデン政権の狡猾なコロナワクチン外交が見えてくる。米国は中ロと地政学的に対立しているインドや台湾、インドネシアなどにワクチン供与を重点化している。もちろんワクチンの供給自体を非難する理由は全くないが、中ロの進出の封じ込めの材料として使われるなら問題だ。

「食料自給率 最低37%」

本日の東京新聞朝刊に、農林水産省が発表した2020年度の食料自給率に関する記事が掲載されていた。掲載されているグラフにカロリーベースと生産額ベースの2つが並ぶ。カロリーベースとは農林水産省のホームページによると、次のように説明される。

カロリーベース総合食料自給率は、基礎的な栄養価であるエネルギー(カロリー)に着目して、国民に供給される熱量(総供給熱量)に対する国内生産の割合を示す指標です。

カロリーベース総合食料自給率(令和2年度)
=1人1日当たり国産供給熱量(843kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,269kcal)
=37%生産額ベースは以下のとおりとなっている。

生産額ベース総合食料自給率は、経済的価値に着目して、国民に供給される食料の生産額(食料の国内消費仕向額)に対する国内生産の割合を示す指標です。

生産額ベース総合食料自給率(令和2年度)
=食料の国内生産額(10.4兆円)/食料の国内消費仕向額(15.4兆円)
=67%

カロリーベースだと、熱量の多い穀物や肉類、砂糖、油脂などの輸入に頼っている産物の割合が高くなってしまうので、自給率は下がっていく。一方で生産額ベースでは、野菜や果実などの動向が見えてくる。日本の農業を支えていく上でも米を大切にしろと伝えていきたい。

「タリバン 首都に検問所 ニカブの女性増」

本日の東京新聞朝刊にアフガニスタンのタリバンが政権樹立に向けて着々と準備を進めているとの報道があった。記事によると、街には目以外の全身を黒い布で覆う「ニカブ」を着た女性が目立つようになったとのこと。

イスラム教の聖典コーランの中で「両手と顔以外の美しい部分を隠せ」という決まりがある。髪や美しい肌によって男性を誘惑するのを禁じるためとも、女性を守るためとも言われているが、いずれにせよ女性の行動を制限する機能を有している。“いらすとや”の画像で紹介したい。

ヒジャブ(スカーフ) インドネシアや中東全域で見られる服で、髪と頭部、首を覆うスタイル。

チャドル イランで見られ、顔以外の全身をすっぽりと覆う。

ニカブ サウジアラビアなどのアラブ圏で見られ、目以外の全身を覆う。

ブルカ
アフガニスタンやパキスタンで見られ、顔マスクによって全身を隙間なく覆う。

 

ニカブやブルカを着用した国のイスラムの女性は、結婚に至るまでに自分の顔やスタイルを晒すことがない。日本でも平安期の貴族の女性はずっと部屋にいて、障子や御簾、几帳などによって、外部から自分の姿が見られないようにした。そして垣間見を試みる貴族男性に、シルエット越しに長い髪を見せたり、美しい琴の音や和歌によって魅力をアピールしたりしていた。
室町時代に能楽を大成した世阿弥の『風姿花伝』(紅茶花伝じゃないよ!)に、「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」という言葉があります。平安期の女性は自身の容姿に依らず、その美を上手く包み、奥ゆかしさを巧みに演出することで、女性としての輝きを得ていました。
平安期貴族文化とイスラム教には”ルイジ”点がありますね。イスラム教の男性が髭を生やすだけに。