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「アフガン タリバン復権3ヵ月」

本日の東京新聞朝刊に、アフガニスタンのイスラム原理主義組織タリバンが政権に復帰してから3ヵ月を迎えた現状を報じていた。

そもそもイスラム原理主義とは、イスラム教の啓典「コーラン」を厳密に字義どおり解釈し、預言者ムハンマドの時代のイスラム共同体を復興させようとするものである。授業でも扱った、イスラム教徒の5つの義務(信仰告白・礼拝・断食・喜捨・巡礼)に基づく生活や政治、経済を目指し、欧米型の人権や民主主義よりもイスラム法による社会を築こうとする。原理主義そのものが危険な訳ではないが、力づくで原理主義を推し進めようとすると、それ以外の勢力を潰そうという発想に陥ってしまう。

ここ30年ほど米国型の金融資本主義が席巻し、世界中で貧富の格差が拡大している。同じ国民、同じ民族なのに、勝ち組の富裕層と負け組の貧困層の差が浮き彫りになっている。国内で負け組が勝ち組に憎悪を抱くようになると国は維持できなくなる。そうした溝を埋めるために、国家や宗教を全面に出した全体主義が鎌首を擡(もた)げてくる。

2001年の9.11米国同時多発テロに象徴されるように、イスラム原理主義が先鋭化した要因は、ウィナーテイクオールなグローバル経済の方にあるのだろう。

「EU 難民殺到で緊迫」

本日の東京新聞朝刊に、中東の難民ら数千人をポーランド国境に送り込んで、難民保護を盾にEUを困惑させようとするベラルーシ・ルカシェンコ大統領の画策に対するEU側の対応が報じられていた。難民を押し付けるという最もくだらないことを仕出かすルカシェンコやロシア・プーチン大統領も問題だが、シリアやアフガニスタンの中東だけでなく、ハイチやエチオピアでも難民の扱いを巡って国同士の衝突が起こっている。授業のプレゼンでも難民・貧困問題を取り上げる班が多いが、これといった解決策がなかなか出てこない。

記事にもあるが、ベラルーシ国内にはロシアの天然ガスを欧州に送る「ヤマル・ガスパイプライン」が通過している。フランスやイギリスを除く欧州の電力はがロシアの天然ガスに頼る部分が多い。ルカシェンコ大統領の「ガスを遮断する」という発言は、欧州の電力危機を煽るだけでなく、資源に頼りっきりのロシアをも刺激するものである。1994年に大統領となって28年目、御歳67歳のやっかいな人物が国際政治を賑わせている。やれやれ。

「タイ『王室改革』訴えは違憲」

本日の東京新聞朝刊に、タイの憲法裁判所で「王室改革」を訴える反体制デモが違憲だとの判決が出たとの記事が掲載されていた。
タイの正式名称は「タイ王国(Kingdom of Thailand)」である。人口7,000万人で、一人あたりのは7,810ドルといった中流国である。

ちなみに一人当たりのGDPが10,000ドル以上の上流国は全体の3分の1ほどである。同3000ドルから10,000ドルが全体の3分の1を占める中流国である。そして残りの3分の1にあたる同3000ドル以下を下流国とみてよいだろう。そのうちの25ヵ国は、一人当たりのGDPが1000ドル以下の貧困国となっている。

さて、そのタイ王国が揺れている。現ワチラロンコン国王の浪費などを追及する学生団体と警察の衝突が繰り返されている。国家財産を私物化する国王とそれを擁護するプラユット政権に対する国民の視線は厳しい。そもそもこの評判の悪いワチラロンコン国王は、王太子時代ほぼ海外で生活しており、2016年の即位後も一年の大半をドイツで過ごしている。土砂災害やコロナ禍で苦しむ本国を見捨てて、海外で優雅に生活する国王を一体誰が支持するのであろうか。

「マクロン氏、原発回帰鮮明」

本日の東京新聞朝刊に、原発の発電割合が70%と世界一の原発大国であるフランスのマクロン大統領が、温室効果ガスを排出しないクリーンな電源として原発の新設を再開すると発表したとの記事が掲載されていた。

フランスを含むアルプス山脈の北側は安定陸塊であり、ユーラシアプレートの中心部にあるため、数千年というスケールでもM5を超えるような地震がほとんど起きない。福島第一原発のような危険性はかなり低いと思うかもしれないが、核のゴミが無害化までには10万年かかるので、日本の六ヶ所村もフランスも”偏に風の前の塵に同じ”である。

「RCEP アジア貿易効果期待」

本日の東京新聞朝刊に、東南アジア連合に日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国を加えた15ヵ国で発足する地域的な包括的経済連携協定(Regional Comprehensive Economic Partnership:RCEP)について、メリットや今後の課題を含めて分かりやすく説明されていた。来年の授業からは大きく取り上げることになるであろう。

記事の最後の方にもある通り、日本が米中両にらみの立ち位置をとるべきだとの指摘は正しいと思う。台湾だけでなく南シナ海の南沙諸島やミャンマーの軍事政権支援など近年の中国の拡大を牽制しつつ、米国のおせっかいな介入を防いでいく積極的中立姿勢が必要な場面である。

また、物や金だけでなく、貿易や投資ルールの自由化・円滑化、労働力の移動の促進など、多方面の分野での連携を押し進める経済連携協定なので、閉鎖的な日本の法制度や商慣習が代わっていくチャンスでもある。

  • EPA:貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定