地理」カテゴリーアーカイブ

「北朝鮮が連絡事務所を爆破」

本日の東京新聞朝刊に、北朝鮮が国内にある南北共同連絡事務所を破壊したとの報道があった。授業の中で触れていきますが、朝鮮半島の南北の国は1950年代に休戦協定を結んで以降、とりあえず戦闘が止まっているという状態です。ちょうど20年前の2000年に金大中大統領と金正日総書記が南北共同宣言に署名し、平和的な統一を目指して経済協力を推進することで歩調を合わせてきた。今回の事件の場となった開城(ケソン)は、北朝鮮国内の観光地であり、外国人を受け入れてきた北朝鮮の外交政策を象徴する場所でもある。そこの事務所を破壊したというメッセージを確認しておきたい。

「食害バッタ 非情の東進」

本日の東京新聞朝刊に、中国では「蝗害」と呼ばれる、サバクトビバッタの大量発生の模様が詳細に報じられていた。地図にもあるように、インド東部は世界第一の稲作地帯で、世界の米の輸出の3割弱を占めている。幸いにも新型コロナウイルスで、アジア系の人たちの死亡率は欧米の数十分の一だが、穀物の被害は甚大な影響が予想される。旧約聖書「出エジプト記」にも、大量のバッタがエジプトを襲う場面がある。北半球ではこれから夏を迎えるので、インドを越えて、バングラデシュやミャンマー、ブータンへの被害も予想される。最近ネットニュースでも目にするようになった昆虫食に応用できれば良いのだが。

「辺野古 基地工事再開」

本日の東京新聞朝刊一面に、沖縄辺野古基地の工事再開が報じられていた。今年の2年生は沖縄への修学旅行が予定されているので、丁寧に解説してみたい。

沖縄は太平洋戦争で唯一地上戦の舞台となったところで、米軍が占領した日本の基地が、戦争が終了してもそのまま米軍の基地として残ることになった。皆さんも中学校の日本史で習ったと思いますが、沖縄はサンフランシスコ平和条約締結後も、米国の施政権下に置かれ続けました。1972年に本土復帰を果たしますが、0.6%しかない沖縄の地に日本国内の米軍基地の75%が集中する事態は変わらないままです。

ではなぜ、米軍は沖縄にこだわるのでしょうか。次の地図をみてください。

沖縄は、米国が最も警戒する中国や台湾、北朝鮮に睨みを効かせるのに絶好の場所にあります。グアムやフィリピン、韓国、本州各地の基地と連携しながら、中国全土にいつでも戦闘機(航続距離約5,000km)を飛ばせる距離に位置します。

沖縄には嘉手納基地と普天間基地の2つの米軍の空港があるが、普天間は住宅街に隣接しており、1996年に日本に返還すると日米両政府が合意しています。しかし、その移設先を巡って、日本政府と沖縄県の間で話し合いや裁判が繰り返されています。沖縄県は、県内に米軍基地があることがそもそもおかしいことであり、最低でも県外に移すべきだという考えです。一方、日本政府は日米安保条約や日米地位協定に基づき、米軍基地を日本側で整備すべきだという考えを崩していません。そこで沖縄県名護市の辺野古に移すと政府は一方的に決定し、強引に工事を進めています。

しかし、沖縄に米軍基地があることに、私は意味があるとは思えません。中国の脅威や東アジアの安定といった面を政府は強調しますが、米軍基地が沖縄県民の生存権を脅かしていることは明らかです。憲法9条だけでなく、憲法25条にも違反しています。憲法を逸脱する政治をゴリ押しする日本は、果たしてまともな法治国家と言えるでしょうか。

「米自動車レース 南軍旗使用禁止」

久しぶりの高校生活は如何だったでしょうか。
教科担当にとっては、授業ができる嬉しさの反面、肉体的な疲れがどっと出た4日間でした。
おそらくはマスクをしているので、余計に大声を出そうとし、幾分酸欠状態になっているのが原因だと思われます。もう少しの我慢でしょうか。

本日の東京新聞夕刊より。
こうした新聞記事を読んでいく際に、世界史の知識があると理解が深まっていきます。世界史は大航海時代から始まり、来週にもスペインによる南米進出の話に入っていきます。南米ではサトウキビのプランテーションに西アフリカの黒人奴隷が大量に送り込まれていきました。それとほぼ同じ形で、イギリスは北米の綿花のプランテーション農場に黒人奴隷を大量に送り込んでいきます。そしてコットンベルトとよばれる米国南東部では、黒人奴隷を酷使することで、いち早く繊維の機械化に成功した英国に綿花を輸出し外貨を稼いでいました。一方五大湖周辺や西部では工業化が進展し、英国や黒人奴隷とズブズブの関係にある南部とは異なり、米国の独立と工業の発展のために、人種の別を設けることに異論が出るようになりました。こうした軋轢が、やがて南北戦争へと繋がっていきます。

記事にある赤い国旗は、黒人奴隷を容認する南部の「アメリカ連合国」の国旗でした。つまり、赤い南軍旗を掲げるということは、黒人をあからさまに差別すると公言するようなものです。国旗というのは、単に一つの独立国を示す記号的側面だけでなく、その国の政策や方向性を賛美する意味合い象徴的な意味合いも含まれます。米国の闇を現大統領が容認しているのもおかしいと考えます。日本でも戦時中に軍旗として用いられた旭日旗の問題が、何度も蒸し返されます。旗を掲げる政治的意味合いにも注意を払っていくべきですね。

「助っ人好調 アーチ競演」

本日の東京新聞朝刊に、中日ドラゴンズの主砲のビシエドと新外国人のシェラの活躍が報じられていた。ビシエドはMLBのシカゴ・ホワイトソックスで活躍した選手であるが、出身はキューバ共和国で、いかだに乗ってアメリカを目指し亡命した経歴の持ち主である。

地図帳を開けば一目瞭然だが、キューバはフロリダ半島から150kmと、目と鼻の先ほどに位置にある。しかし、冷戦時代にソ連の後押しを受け社会主義に転じて以来、米国と険悪な関係が続いてきた。2015年にオバマ大統領がキューバ敵視外交を廃し、国交が再開して以降、緩やかながら米国との貿易額も増加している。

また、シェラも同じくカリブ海諸国のドミニカ共和国の出身である。ドミニカはキューバの隣国であるが、対米重視の外交をとっており、MLBで活躍する選手も多い。人口は1000万人なのだが、「野球移民」とも称されるほど、世界中にプロ野球選手を送り込み、国の発展の一助ともなっている。

対照的な両国であるが、どちらも米国の中南米支配外交の現れである。どちらもサトウキビやタバコなどの農業国家だったのだが、