角野栄子『ファンタジーが生まれるとき:『魔女の宅急便』とわたし』(岩波ジュニア新書 2004)をパラパラと読む。
有名なアニメ映画『魔女の宅急便』の原作者の角野さん自身の半生がエピソードを交えて丁寧に綴られている。『魔女の〜』は偶然に生まれたものではなく、幼少の頃から外国文学に親しみ、大学でも英文学を専攻し、ブラジルでの生活を経た経験の末に生まれた必然的な作品と言っても過言ではない。
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『図形がおもしろくなる』『数を考える』
大野栄一『図形がおもしろくなる』(岩波ジュニア新書 1994)、山﨑圭次郎『数を考える』(岩波ジュニア新書 1982)をそれぞれパラパラと眺める。どちらも構成が単調で、読み通すことのできる中高生はいないであろう。
「プーチン氏 粛清の記憶消す」
本日の東京新聞朝刊に、ロシア・プーチン大統領がロシア国内でも否定されているはずのスターリン政治の再評価を進めているとの記事が掲載されていた。世界史の範囲になるが、ヨシフ・スターリンは、1924年にレーニンが亡くなってから30年近くソビエト社会主義共和国連邦の代表を務めた人物である。一国社会主義論を展開し、万国の労働者のための国づくりではなく、自分たちの懐を潤すだけの独裁体制を作り、反対派を徹底して粛清した人物としても知られている。粛清された人は、1,000万人とも3,000万人とも言われる。
どこかのクラスで話したが、政治や民族、経済的に国内が分断され始めると、政権側は自分たちにとって都合のよい国家統合装置をつくり出す。それは王室や皇室だけでなく、国民栄誉賞を貰うようなスポーツ選手や芸能人かもしれない。いずれも政治的な溝や民族的な齟齬、経済的な格差を覆い隠すようなパフォーマンスが繰り広げられる。
スターリンの死から3年後の1956年に、フルシチョフソ連共産党第一書記長によって、行き過ぎたスターリン個人崇拝が、誤った独裁政権や大量殺人を行った政権を生み出すことになったと批判されている。
「トレーラーから50遺体発見
本日の東京新聞朝刊に、米南西部のテキサス州の校外で乗り捨てられたトレーラーからヒスパニック系の移民50人の遺体が見つかったとの衝撃的なニュースが報じられていた。
50人の内訳で判明している人の国籍は、メキシコが22人、グアテマラが7人、ホンジュラスが2人だという。このうちホンジュラスは人口1000万人近い国だが、資源に乏しく、コーヒーやバナナ、パーム油などの熱帯商品作物しか輸出できないため、一人当たりのGNIは2,180米ドルとなっている。近年の物価高や失業率の増加、米ドル高を考慮すると、数字から見えてくるもの以上に経済が混乱していることが想定できる。
地理の公式ということで、移民や難民は一人当たりのGNIが低い国から高い国へと移動していく。米国の1人あたりのGDPが69,221ドルであることを考えれば、コロナや物価高、独裁政権で混乱している中南米諸国から米国への流れは止めようがない。
また、授業中に何度も触れているが、中南米はブラジルや一部の国を除いてスペイン語が話されているので、国を超えた移動が楽である。但し、メキシコと米国の間の国境警備は厳しくなっており、バイデン政権になってからも排外主義の流れは変わっていない。
今後の授業の中でも、一人当たりのGNIを確認しながら、移民や難民について考察する機会を増やしていきたい。
『新しい英文作成法』
天満美智子『新しい英文作成法』(岩波ジュニア新書 1998)を少しだけ読む。
執筆当時は津田塾大学の学長を務めていた方なので、本人が全部書いたのか、本人監修のもとで誰かが書いたのかは断定できないが、「新しい」と題したほどの内容ではなかった。


