室井滋『東京バカッ花』(マガジンハウス 1994)を読む。
富山から上京してきて早稲田大学に入学し、様々なバイトを経験するなかで東京生活に奮闘する姿が昔懐かしく描かれている。本人の手によるものなのかは不明だが、楽しく読むことが出来た。94年の1月の頃の写真だろうか、早稲田を中心に東京界隈での本人の写真が数十枚掲載されていた。その中でも17号館の近くにあった大学いもの店ハナヤの写真が懐かしい。また文連の大きいポスターを背景にした第一学生会館前の写真もあった。文連常任委員会や早稲田祭実行委員会の主体名の脇に「部室・新学館問題全学サークル会議」なるものの名称が並んでいる。これまた古き良き早稲田の姿なのだろうか。。。
投稿者「heavysnow」のアーカイブ
『グローバル・メディア産業の未来図』
小林雅一『グローバル・メディア産業の未来図:米マスコミの現場から』(光文社新書 2001)を読む。
大半の日本人が知っているようで実はよく知らないアメリカメディア産業の舞台裏を追った内容だ。日本では旧来通りの「新聞社ーテレビ局ー系列ネット」の大枠で地上波デジタルの大波も乗り切るようだが、アメリカでは音楽、映画、ニュースのネット配信を巡って、既存メディア産業に加えマイクロソフト社やリアルネットワーク社、ケーブルテレビ局も参入しまさにメディア戦国時代の様相を示している。違法もしくは違法すれすれのコピー技術に悩まされ、なかなかネット配信に踏み切れない音楽産業や映画産業のいらだちが描かれていた。先日アップル社から新しいオンラインミュージックストアである「iTunes Music Store」のサービスが始まった。日本でのサービスはまだ先なので大して気にも止めてなかったが、ワーナーやEMIなどの5大レーベルの楽曲を提供するということが、そこに至る過程が如何に厳しいものであるのかこの本を読んで理解できた。
『「多動性障害」児:「落ち着きのない子」は病気か』
榊原洋一『「多動性障害」児:「落ち着きのない子」は病気か』(講談社+α新書 2000)を読む。
最近日本でも「キレる」子どもの要因として、マスコミに登場する機会の多くなった「多動性障害」であるが、病気なのか、個性なのかという判別が難しく、また治療を巡っても薬物治療、行動療法と医師の見解も大きく分かれている。アインシュタインやエジソンも「多動性障害」であったと言われ、薬物治療には二の足を踏む医師がヨーロッパや日本には多い。しかしアメリカでは中枢刺激剤 リタリンでの薬物治療が一般的で、世界の生産量の9割以上を消費し、「多動性」と診断された小学生の90%以上がリタリンを服用しているそうだ。
この違いには単なる医者の捉え方の差異以上に国民性が大きく反映しているように思う。世界のテロを支援しているとしてブッシュ大統領はイラクや北朝鮮を悪の枢軸国として名指ししたが、具体的な根拠のあることではなく、漠然とした世界の情勢不安に自国の都合の良い明確な答えを示しただけのことである。「多動性」についても同様で、脳という複雑な生物の神秘の世界に対して、神経伝達物質の一つであるドーパミンの生成を調節する「ドーパミントランスポーター」の過剰な働きが原因であると指し示すアメリカ医師会のあり方には、多分に物事をチャート化しようとするアメリカの国民性が感じられる。
amlからの転載
【転送大歓迎、重複・遠方の方すいません】<BCC送信しております>
埼玉朝鮮初中級学校の公開授業の案内です。どなたでも参加できますので、興味と時間のある人は一度のぞいてみてください。
在日本朝鮮人人権協会 金東鶴
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<公開授業のご案内>
新緑が目にしみる今日この頃、諸先生におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
常日頃、在日朝鮮人子弟の民族教育に深い理解を示され、暖かい支持、声援を寄せてくださっていることに対し、心から感謝の意を表します。
さて、文部科学省がインターナショナルスクールの卒業生にだけ国立大学受験資格を認め、朝鮮学校等、アジア系民族学校は認めないとする方針が「アジア蔑視」、「民族差別だ」との批判をうけ、凍結、再検討となっている問題と関連し、朝鮮学校の教育に対する関心が高まっています。つきましては、多くの日本の先生に民族教育に対する理解を深めていただくために下記のように公開授業を実施いたします。
是非ご参観くださることをお願いし、ご案内申し上げる次第です。
敬 具
記
日時:2003年5月24日(土)午前10時〜正午
場所:埼玉朝鮮初中級学校
さいたま市大宮区堀之内1−501−1
TEL 048(644)1954〜5
交通アクセス:JR大宮駅東口バス乗り換え口6番、7番にて「堀之内経由」のバスに乗車。「芝川新橋」停留所で下車(乗車時間10〜15分)し、芝川に沿って開成高校のある方向に歩いて5分程行くと左手に本校があります。
当日予定
公開授業 第2時限
(10:00〜10:45)
民族教育を考える集い
(11:00〜12:00)
新教科書紹介ビデオ上映
民族教育権の現状報告
2003年 5月 12日
埼玉朝鮮初中級学校
学校長 高 石 典
教育会長 安 重 根
『数学屋台』
芳沢光雄『数学屋台』(実業之日本社 1999)を読む。
東京理科大の数学科の教授の著書であるが、数学の持つ魅力をかいつまんでエッセー風にまとめたものだ。あらゆる物事をすぱっと割り切って考える数学的発想が面白かった。次の文章に端的に表されている。
自分自身が、あるいは自分の考えが単に選択されなかったとしても、それは自分自身あるいは自分の考えの善悪には無関係である。その辺を誤解して「自分はダメだ」「自分は誰にも相手にされない」などと言って、自分自身を苦しめている人が何と多いことであろうか。自分自身あるいは自らの考えが選択されるときも必ずある。そのときを待てるか待てないかだけなのだ。
また著者は80年代後半以降どかどか設置された「人間、文化、情報、環境、国際、総合などの単語を二つ並べたいわゆる学際学部」についてもコメントを寄せている。18歳人口激減期対策として入試科目を減らしたため、入試ランキングだけは必ず高い位置にある人気先行の学部の先行きの不透明さを指摘する。慶応大学の環境情報学部、早稲田大学の人間科学部が象徴的であろう。
そこで著者は二つの新学部を提案する。一つは今後の統計学の発展や統計調査会社の要請を鑑み、計量経済学、計量政治学、計量文献学を専門とする「統計学部」の設置である。もう一つはISBNコードや通信技術などの「符号理論」とインターネットなどの秘密保持の技術である「暗号理論」の研究・教育を主目的とする学部である。確かにこれらの学部は完全なる産学協同路線上のものであるが、中身のない大学・学部にだまされるよりはよっぽど社会的に意義があろう。
