浦出善文『英語屋さん:ソニー創業者・井深大に仕えた四年半』(集英社新書 2000)を読む。
タイトル通り井深氏の秘書兼通訳として活動した作者の思い出話となっている。『通訳・翻訳ジャーナル』という月刊誌に連載されたエッセイが元になっているためか、要は英語さえ出来れば中身は問われずとも大企業で給料がもらえるという話である。心動く場面はほとんどなかった。しかし井深氏が取り組んでいた0歳児教育に関する引用は面白かった。母子のスキンシップを大切にしたコミュニケーションという昔からある子育ての焼き直しであるが、原始歩行の訓練などは、ホモサピエンスの高度な発達の原点が猿人の二足歩行だったように、人類の発達をなぞるようで興味深い。
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不在者投票
今日は衆院選の不在者投票に春日部市役所まで出かけた。別館の会議室の一角を用いて行っていたが、整理券を配るほどの盛況ぶりで投票までに30分ほどの時間を費やした。不在者投票と名はついているものの、実質「毎日が投票日」と評されるこの制度が施行されて間もないが、そろそろ一層の充実を計ってよい時期であろう。特に春日部市は前回の埼玉参院選補選の低投票率の批判を受けたにも関わらず、不在者投票所の案内は小さく、土曜日ではあるが市役所の職員もほとんど出て来ない。相も変わらずルーティンワークな仕事ぶりである。
「アパルトヘイト・ウォールに反対する国際デー」
明日の9日の衆院選の日に、パレスチナのNGOが「アパルトヘイト・ウォールに反対する国際デー」を呼びかけている。
先日東京新聞でも特集されていたが、イスラエル政府の手によって、まさにドイツのベルリンの壁と同じほど俗悪な、パレスチナとイスラエルを分割する壁が建設されている。しかも単に国土を分けるだけでなく、過去のユダヤ人居住区(ゲットー)よろしく、パレスチナ人を一定地域に閉じ込めるための国家的な人種差別の壁である。南アフリカの人種隔離政策になぞらえ、「アパルトヘイト・ウォール」と名付けられている。このアパルトヘイト・ウォールの建設中止を求める国連安保理の決議は米国が拒否権を行使したことで終わった。しかし、10月21日に開催された国連緊急総会の場で、「壁」の建設中止と撤去を求める決議が賛成144反対4[米国、イスラエル、ミクロネシア、マーシャル諸島]棄権12で圧倒的支持を得て可決されたとのことだ。しかし、それを受けてもイスラエル政府は、国連決議を無視して「壁」の建設を続行すると表明し、各国から非難を浴びている。
『侏儒の言葉』
芥川龍之介『侏儒の言葉』(岩波文庫1932)を読む。
芥川ならではの箴言集である。薄い本であったが、久々にくすっと笑ってしまう本であった。彼の芸術および社会に対する批判的な視座がかいま見え、彼の人生観そのものが底流に流れている。そのアフォリズムの一部を紹介しよう。
道徳は常に古着である。
強者は道徳を蹂躙するであろう。弱者はまた道徳に愛撫されるであろう。道徳の迫害を受けるものは常に強弱の中間者である。
好人物は何よりも先に天上の神に似たものである。第一に歓喜を語るのによい。第二に不平を訴えるのによい。第三に――いてもいないでもよい。
最も賢い処世術は社会的因襲を軽蔑しながらも、しかも社会的因襲と矛盾せぬ生活をすることである。
自由思想家の弱点は自由思想家であることである。彼は到底狂信者のように獰猛に戦うことはできない。
彼は最左翼のさらに左翼に位していた。したがって最左翼をも軽蔑していた。
そして、1927年すなわち芥川の自殺した年に最後の箴言が書かれている。
眠りは死よりも愉快である。少なくとも容易には違いあるまい。
「世界平和の脅威となっている国」
本日の東京新聞朝刊によると、欧州連合(EU)が3日公表した域内市民対象の世論調査で「世界平和の脅威となっている国」に最多の59%の人がイスラエルと回答し、2位は同率で米国、北朝鮮、イランだったとのことだ。安倍自民党幹事長がしきりに「北朝鮮問題があるのに、日本が米国に代わって極東の安全を守れるか」と日米同盟の堅持、沖縄在日米軍基地の積極的な役割を訴えるが、平和の脅威となっている米国との同盟を前提とすること自体の危険性も客観的に分析していく必要がある。
