『読書術』

加藤周一『読書術』(岩波同時代ライブラリー)を読む。
特別目新しいことは述べていないが、彼の博学には舌をまく。ただ下記の加藤氏の読書のスタイルは気に入った。このような形で古典に親しんでみると、日常のちょっとしたいらいらも軽減されそうだ。

私は学生のころから、本を持たずに外出することはほとんどなかったし、いまでもありません。いつどんなことで偉い人に「ちょっと待ってくれたまえ」とかなんとかいわれ、一時間待たせられることにならないともかぎりません。そういうときにいくら相手が偉い人でも、こちらに備えがなければいらいらしてきます。ところが懐から一巻の森鴎外をとり出して読み出せば、私のこれから会う人がたいていの偉い人でも、鴎外ほどではないのが普通です。待たせられるのが残念などころか、かえってその人が現れて、鴎外の語るところを中断されるのが、残念なくらいになってきます。

『不安な録音機』

阿刀田高『不安な録音機』(中公文庫)を風呂の中で読んだ。
古い記憶をめぐる短編集である。現在と過去が混在していく展開は飽きさせないが、雑誌連載作品ゆえに紙幅が少なく、踏み込みが浅い。

『ENCOLE』

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今日は久しぶりに新宿に出掛けた。久石譲の『ENCOLE』というピアノ曲のCDを買ってきた。家でゆっくり聴くには最高である。すでに知っている曲ばかりであったが、特に『千と千尋の神隠し』で使われた「あの夏へ」という曲が、映画のもつ郷愁のイメージが醸し出されていて良い。

『オートバイの科学』

島英彦『オートバイの科学』(講談社ブルーバックス)を読む。
空冷単気筒SOHCエンジンを積んだバイクの車体の改造についての話である。私もかつてカワサキのZZRー400というバイクに乗っていたことがあるが、水冷4気筒DOHCのエンジンの整備の煩雑さには手を焼いた。その後、今から4年前に現在のバイクを購入する際は、とにかく整備のしやすいものという反省から、空冷単気筒SOHCエンジンを積んだホンダのXRーBAJAというバイクを選んだ。外から見てもカムシャフトの位置が手に取るように分かる空冷エンジンこそバイクの原点だと思うのだが、近年大型スクーターの流行もあってか、フェアリングの奥にエンジンが隠れてしまって、ブラックボックスになってしまっているのは悲しい。

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ところで、ホンダの創設者である本田宗一郎が空冷にこだわった話は有名である。詳細は忘れたが、エンジンの高機能化に伴って、ホンダにおいても水冷エンジンの開発に取り組まざるを得ない時に、空冷のこだわる本田宗一郎が砂漠の真ん中でエンストしたらどうするんだ、と強固に反対し水冷化を推し進める部下を辞めさせたことがあったらしい。しかし次の日、本田宗一郎自身水冷の良さを認め、部下を復職させたというのだ。しかし現在でもカブやオフロード車を中心に、ホンダは昔ながらの空冷単気筒エンジンのバイクをラインナップさせている。排ガス規制等厳しいと思うが、私が貯金をためてXR600を買うまでは水冷化は待ってほしい。

現在も年に3・4度は近所のレッドバロンというバイク屋に出掛けるが、あのオイルの匂いが漂っている空間にいると気持ちがうずうずしてくる。先日もカブのエンジンを積んだモンキーやゴリラの亜種であるホンダのエイプというバイクにまたがってみた。これで東北の獣道をコンパス片手に探索したら楽しいだろうなと思いながら静かにアクセルを回した。

ペットショップ

先日春日部市内のバイク屋でタイヤ交換をしている間、待ち時間を潰すために、向かいにあったペットショップに入った。表から見ていた柴犬がかわいかったので、店内に足を踏み入れたのだが、あまりの匂いに耐えられなくてすぐに出てしまった。また値段も3万円から16万円までと幅広かった。目の前で生きている動物がその種別と血統で値札がつけられてしまうのは少し残酷だ。「アンクルトムの小屋」の頃の人身売買を彷彿させる。

今後日韓の交流がより進むにつれ、犬肉料理も日本に入ってくるのだろうか。日本人は文明開化の当初、神聖視されていた牛をさほどの抵抗もなく食べてしまったのだから、犬肉も容易に口にしてしまうのだろうか。しかし映画「南極物語」や「忠犬ハチ公」で涙したものにとってはやはり犬肉料理は受け付けられない。