中村紀洋内野手

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ここ最近、中日ドラゴンズに育成選手枠として入団した中村紀洋内野手の活躍が新聞やテレビを賑わしている。
昨日は教育リーグで140mの満塁ホームランを打ったということだ。オリンピック日本代表やメジャーリーグを経て、オリックスバッファローズではわがままし放題であったあの中村選手が、若手に混じって丸坊主になってまでボールに食らいつく姿は、正直修まりが悪いものかもしれない。しかし、「1軍にちょっとすき間があれば入り込みたい」と、わずかな目標を確と見据え、裸一貫で自分が信じた道をあきらめずにもう一度歩もうとする姿は輝いて見える。ちょうど私と誕生日も数日しか違わない同級生である。33歳の彼の活躍を心から応援したい。

『気の発見』

五木寛之『気の発見』(平凡社 2004)を読む。
有り体にまとめてしまうと、作家五木寛之氏がロンドンで気功治療を営む望月勇氏を相手にし、気やヨガについての疑問をぶつけ、自身のライフワークとなっている浄土真宗と関連付けて合点を得るといった内容の対談集である。
気功治療でガンが完治しただの、東京とロンドンの距離ですら電話で遠隔治療ができるなど、何やら怪しげな話が続く。しかし、西洋医学がもたらした患者の消極的意志を否定し、あくまで気功治療は患者の積極的な気持ちを重んじるという点は納得できた。

『猫には猫の哲学がある』

井下優子『猫には猫の哲学がある:わがままキャットの生き方事情』(PHP 1994)を読む。
作者宅で飼っている2匹の猫の生活観察から、何事も気まぐれで、わがまま放題に生きていると一般的に考えられている猫であるが、実態はやっぱりわがままでのほほんと暮らすだけの愛くるしい存在であると結論付ける。

我が家の駄猫マルクスも図体だけはすっかり大人の猫になった。既に2歳を越えやや落ち着きさえ出てきたようだ。

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『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』

向山淳子・向山貴彦『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』(幻冬舎 2001)を読む。
文法に則って正確に訳すことを目指す受験英語ではなく、主語と述語のシンプルな関係を軸に、左から右へ流れるように英語を読むための参考書である。参考書といっても絵本を読むような感覚で読めて、憎たらしくも愛くるしいビッグ・ファット・キャットと、ブルーベリーパイを巡ってバトルを展開するパン屋のエドの行動を追うことで英語を読むリズムが自然と理解できるようになっている。英語の初学者(私のことだが…)に是非オススメしたい本であった。

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公式サイトはこちら

『夜と霧』

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明日から遠藤周作の『カプリンスキー氏』というアウシュビッツ強制収容所をテーマにした短編集を授業で扱おうと、家で少し予習をした。どうしても活字だけだとあのアウシュビッツの惨状が説明できないので、映像を参考資料にしようとアラン・レネ監督『夜と霧』(1956 フランス)というDVDを借りてきた。V.E.フランクルの同タイトルの本が有名だが、こちらも当時の貴重な映像が残されており、観るもの全てに、戦争がこれほど恐ろしい冷酷な人間を創り上げるのかと惨憺たる思いにさせる。最後のナレーションが印象に残った。さて私たちは何をすればよいのか。

戦争は終わっていない
今、点呼場に集まるのは雑草だけ
“都市”は見捨てられた。
火葬場は廃虚に、ナチは過去となる
だが、九〇〇万の霊がさまよう
我々の中の誰が、戦争を警戒し、知らせるのか
次の戦争を防げるのか
今もカポが将校が、密告者が隣にいる
信じる人、あるいは信じない人
廃虚の下に死んだ怪物を見つめる我々は
遠ざかる映像の前で、希望が回復した振りをする
ある国の、ある時期における特別な話と言い聞かせ、
消えやらぬ悲鳴に耳を貸さぬ我々がいる