ハーレクイン

ハーレクインを何冊か買ってきた。
昨日からサンドラ・マートン『抱かれていたい』(ハーレクインロマンス)を読んでいる。
しかし最初の数ページを読んだだけで、既に展開が読めてしまった。仕事に没頭する女性タリアと大会社社長のローガンとのラブロマンスである。最初は誤解やすれ違いから衝突することも多かったが、お互い意識しあう中で、段々魅かれあっていく。恐らく最後は笑顔でキスを重ねるシーンでのハッピーエンドで終わるのであろう。水戸黄門的な話型が一貫した作品であり、読者も安心して読むことが出来るのであろう。イギリス英語の翻訳調の遠回しな表現も読み進めていく内に情緒すら感じてくる。仕事や家族、自分に対して懸命であるが今一つ幸せを実感することが出来ず、ふとした偶然から白馬の王子様がやってくるという話型が、一部の女性ファンに共感を与えるのであろう。相手の男の表情や言い方、仕草の一つ一つを自らの判断に照らし合わせようとする女性心理が丁寧に描かれている。ただ男の私からすれば一冊でもう十分という感じである。

「泣かないで。タリア……お願いだ」ローガンは優しくタリアの頬の涙をぬぐった。「君はとっても柔らかい。どこもかしこもこんなに柔らかいのかな?」
「お願いよ。放して……」
ローガンは頭を傾け、手がたどったあとを唇で追う。彼はタリアの濡れた頬に、あごに、唇にキスした。タリアの全身が震える。
「やめて、ローガン……」タリアは顔をそらした。ローガンは彼女のあごをとらえ、自分の方に向かせて何度もキスを繰り返した。
タリアの脈が速くなり、体の奥の欲望に火がついた。彼のキスで唇がとろけそうな気がした。
「ローガン……」
「僕に腕を回して」ローガンがささやく。
自分が望んでいることをどうして拒めるだろう? タリアはおずおずと腕を上げ、彼の首に絡ませた。
「僕が欲しいと言ってくれ、タリア」

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