「未来への教室」

午前中NHK教育テレビで「未来への教室」という番組を見た。
ゼロックスパロアルト研究所のアラン・ケイ博士が子供たちに未来のパソコンの姿を語るというものだった。マックを使っているものにはおなじみだが、アラン・ケイがパロアルト研究所で提唱したダイナブックの思想に着目したのがスティーブジョブズである。彼はパソコンというものを人間の思考形態の延長と考えている。単なる計算機やインターネットに接続できる機械としてではなく、自分の頭の中でしか展開できなかった思考の過程を他人に説明できるものだと定義している。もちろん人間の思考内容は文字に限らず、図形や、音楽、動画などさまざまある。これまでのマルチメディアパソコンなるものは人間の表現領域に属する、テキストや図形ファイル、音楽ファイル、動画ファイルの全てが扱えるというものであった。しかしアラン・ケイは今「スクイーク」というOSを開発しているが、彼はそもそもの人間の思考領域の具現化を目的とした。私たちの子供時分には、物事を考えていく際、「ここがこうだから、これはこうして、こうしよう」と頭の中で思考のボックスを上下左右に動かしていたが、ちょうど子供の頃の頭の中を見るような画面である。専門用語でこれらのGUIをひっくるめてオブジェクト指向と呼ぶが、マックOSのはるか先を行っている。私たち大人はテキストベースで物事を理解しがちであるが、芸術家や子供の方が彼の目指す「メタメディア」のパソコンをうまく使いこなすことが出来そうだ。彼は自著の論文の中で次のように述べている。

コンピュータは,他のいかなるメディアー物理的には存在しえないメディアですら 、ダイナミックにシュミレートできるメディアなのである。さまざまな道具として振る舞う事が出来るが、コンピュータそれ自体は道具ではない。コンピュータは最初のメタメディアであり、したがって、かつて見た事もない、そしていまだほとんど研究されていない、表現と描写の自由を持っている。それ以上に重要なのは、これは楽しいものであり、したがって、本質的にやるだけの価値があるものだということだ。

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