『ナノテクが日本を救う』

 池澤直樹『ナノテクが日本を救う』(講談社 2002)を読む。
 原子や分子の大きさを表すための10億分の1を意味する「ナノ」レベルの技術開発を何とか素人が理解できる程度に解説している。10億分の1というと、地球がビー玉のサイズになってしまうほどの小ささである。これまで半導体や光学技術は徹底して小さくすることで技術革新を図ってきたが、すでにそうしたトップダウン式の微細化は限界が生じているという。今後は原子や分子といったパーツを組み合わせることで単分子トランジスタやナノ粒子を利用した材料の開発が求められる。そのようなボトムアップ式の原子や分子から世界を見ると、すべては原子の操作で動いているということが分かる。そうなると現実では画然している材料技術、情報技術、バイオ技術の先端技術の全てが原子のレベルで統合されるようになる。
 日本では大学の学部のレベルで理学、工学、生物学、医学でタコ壺型に研究が分割されているが、50年後には「ナノテク学部」に全て統轄されてしまうのだろうか。

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