太田光、田中裕二、長谷部恭男『爆笑問題のニッポンの教養:みんなの憲法入門 憲法学』(講談社 2008)を読む。
爆笑問題の二人が大学の研究室を訪れ、率直な疑問をぶつけるNHK総合のテレビ番組の内容をまとめた本である。そのため、日本国憲法の内容に関する本ではなく、憲法学とは何ぞやというテーマで3人のやりとりが展開される。最後に長谷部さんは次のように述べる。
教科書的な言い方をいたしますと、「国の政治根本的な仕組みを定めているのが憲法である」ということなんですけれども、比較不可能な価値観が対立し、競合するような世界観なり人生観を持った人々が、どうやって公平に社会生活を営んで暮らしていけるのか。それを支える仕組みはなんなのかを考えるのが、憲法学という学問だということかなと思います。
長谷部さんは、宗教に基づく対立や戦争は終わることがないという前提に立って、宗教の是非に関わらず必要な警察や消防、教育、医療、福祉といった公平に提供していかなければならない社会の仕組みを作っていくのが憲法学だと述べる。そして、数学や自然科学と違って根本的に進化していく学問ではなく、環境の変化や人々の生活や暮らしぶりの変化などに合わせて、その都度考えていくことだと結論づける。