『地球がわかる50話』

島村英紀『地球がわかる50話』(岩波ジュニア新書 1994)を読む。
北海道大学理学部教授で、「海底地震観測施設」の施設長を務めていた著者が、地球の形に始まり、プレート、マントル、コア、地球誕生の歴史まで、空間的にも時間的にもスケールの大きい話を分かりやすく語っている。

しかし、最新の研究に携わる著者だからこそ、プレートが動く原因もマントルが対流する仕組みも、地軸がズレている理屈も、実は何も分かっていないという事実を素直に語る。
興味を引いたところを羅列してみたい。

  • 海嶺である紅海とアフリカ大地溝帯が交差するジブチで新しく火山が生まれ噴火したり、地震がよく起きたりといった大きな変化が生じているという。
  • 日本は北海道と本州東北部は北米プレートに、本州西南部と四国、九州はユーラシアプレートにあるというのはフォッサマグナの項で学習するが、これだけでは日本海から日本列島に向かう押し合う力が説明できない。
  • プレートが動く仕組みも分かっていない。これまでは海嶺から次々と作られるプレートに押されて動いていると考えられてきたが、最近では地球の中へ潜っていく古いプレートが引っ張るものだから、その結果としてプレート全体が動かされているという説が有力になりつつある。
  • 一番古いとされる太平洋プレートの歴史が2億年なのだが、ではそれ以前にも同じようにプレートが動き回っていたのか、なぜアフリカ大陸と南米大陸が切り離されてしまったのか、これからの研究を待たなければならない。
  • 地球が回る軸と磁石とは、角度にして11度ずれている。また地球の磁力は毎年少しずつ西向きに動いている。その速さは経度にして毎年0.2度とか0.3度ほど。地球の磁石がこの3、400年の間に年々、僅かずつ弱くなっている。地球の磁石がひっくり返る仕組みも、どれくらいの間隔で、またどれくらいのスピードでひっくり返るかも何も分かっていない。