福島直樹『学歴フィルター』(小学館新書 2018)を読む。
薄い新書で一気に読み終えることができた。
興味本位的なタイトルであるが,就職コンサルタントを務める著者が,ネットでの応募段階における学歴フィルターや,インターンシップを活用したリクルートの実態を語る。また,上位大学の学生と低選抜大学(Fランク大学)の学生を比べた時,就活に取り組む姿勢やエントリーシートの中身において,明確な差がある点も詳らかにしている。
また,大学の学歴差は本人の能力や努力に帰属するものであり,学歴フィルターは非難するにあたらないという意見もある。著者はそうした意見に対し,教育社会学の観点から,子どもの学力や学歴は親の年収や学歴との相関性が極めて高く,学歴は本人だけの問題ではないと断じる。実際に,日本の偏差値上位5大学と低選抜大学4大学の学生の日本学生支援機構の奨学金受給率の関係を調査したところ,前者は16.9%だが後者は41.2%と倍以上の差が出ている。
形は違えど,学歴フィルターなるものは明治時代から脈々と続いているものであり,すぐに無くなるものではない。著者が最後に,大手企業に限られるが採用結果を見える化する法改正や,就活時期の根本的な改善を提案する。